米食品医薬品局(FDA)は,皮下埋め込み用無線ICタグ(RFID)「VeriChip」を米国内で医療行為に使うことを認可した。VeriChipの開発会社である米Applied Digitalと,同社100%子会社の米Digital Angelが米国時間10月13日に明らかにしたもの。

 VeriChipは,人体への埋め込みを想定したRFID。米粒ほどの大きさで,電波を使って外部の装置と情報をやり取りできる。各VeriChipには16桁の識別番号が記録してある。

 Applied Digital社は,同RFIDや読み取り装置,データベースで構成する医療用情報システム「VeriChip Health Information Microtransponder System」を提供している。同システムを使ってVeriChip内の識別番号を読み出し,インターネット経由でデータベースと照合することで,同RFIDを埋め込んだ人の医療情報などが取り出せる。

 なお,VeriChipの製造はDigital Angel社が行っている。同RFIDの人体向け応用事業は,Applied Digital社の100%子会社である米VeriChipが展開する。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,米国の病院でVeriChipを発注したところはまだないという。Applied Digital社は,米国内の救急センター200カ所に650ドル相当の読み取り装置を無料配布する計画で,市場の迅速な立ち上げを目指す。ただし米国以外では導入の動きが始まっており,メキシコでは既に1000人以上の患者への埋め込みが行われた。またイタリアでは,保健省が一部の病院で試験を行っているという。

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