「現在のところ,無線ICタグ(RFID)の導入計画ではハードウエアの検討が優先され,システム統合は後回しにされているが,この状況は急速に変わりつつある」。米ABI Researchが米国時間2月4日に,RFID市場に関する調査結果を発表した。それによると,今後5年間で日用雑貨/食料品(CPG)などの分野でRFID統合に対する需要が大きく伸びるという。RFID統合サービスの売上高は,2007年までにRFIDハードウエアの売上高を上回るとみる。同社は,2006年におけるRFIDサプライ・チェーン統合市場の規模を10億ドル超と見込む。

 米国防総省をはじめ、米Wal-MartやドイツのMetroが、2005年を目標にRFIDの全面導入計画を進めている。RFIDシステムをイベントおよびワーク・フロー管理に拡張するのにともない,従来のITおよび物流環境にもRFIDソリューションを適用する必要が生じる。「倉庫管理ソフトウエア(WMS)やサプライ・チェーン業務(SCE)を手がける米Catalyst International,米Manhattan Associates,米Provia Software,米RedPrairieなどの企業は,すべて自社の物流ソリューションを拡張してRFID対応を積極的に進めている。さらに米IBM,米Oracle,ドイツSAP,米Sun Microsystemsといった大手の企業向けソフトウエアおよびシステムを提供する会社も,既存のスイート製品にRFID機能を組み込み始めた」(ABI社)

 同社は,「既存のITおよび物流インフラにRFIDを導入すると,さまざまな業務プロセスや分野に影響が及ぶ」と指摘する。「より大きな規模のRFIDソリューションは,商品の出庫状況を記録するためだけではなく,リアルタイムな監視機能を顧客から倉庫部門,そして企業全体のITシステムにまで広げることになる」(ABI社上級アナリストのErik Michielsen氏)

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消費者に理解されていない「ICタグ」

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