米Oracleの米PeopleSoft買収計画を阻止しようと訴訟を起こしていた米司法省は,カリフォルニア北部連邦地方裁判所が下したOracle社勝訴の判決に対して控訴しないことを決定した。Oracle社は「米司法省の決断に満足している」とするコメントを,米国時間10月1日に発表した。
米司法省はOracle社のPeopleSoft社買収が独占禁止法に抵触するとしてOracle社を提訴。連邦地裁は「原告側(司法省)は,Oracle社とPeopleSoft社の合併が市場の競争を著しく損なうという主張を証明していない」と判断し,9月9日にOracle社寄りの判決を下した。米司法省は控訴するかどうかを検討していた。
Oracle社会長のJeffrey O. Henley氏は,米司法省の控訴断念について,「PeopleSoft社買収が独占禁止法違反に当たらないという,当社の長い間の信念を肯定するものだ」と述べた。
現在Oracle社が提示している買付額は,PeopleSoft社株式1株当たり21ドル。PeopleSoft社取締役会はすでにこの提案を拒否することを全会一致で決定している。「提示額は不適切であり,PeopleSoft社の真の価値を反映していない。米Citigroup Global Marketsと米Goldman, Sachsからも,1株当たり21ドルは不十分だとの助言を受けている」(PeopleSoft社)
ちなみにPeopleSoft社は同日,米司法省の控訴断念の報告を受ける前に,同社社長兼CEOのCraig Conway氏を解任し,同社設立者兼会長のDave Duffield氏を次期CEOに任命している。米メディアの報道(CNET News.com)によると,多くのアナリストが,このCEO交代はOracle社の買収提案を受け入れる準備ではないかとみているが,逆に,Oracle社の提案をかわすためとみる意見もある。
なお,PeopleSoft社は「Oracle社がPeopleSoft社製品のサポートについて意図的に誤った認識を顧客に植え付けるキャンペーンを行った」と主張し,10億ドル以上の補償的損害賠償を求める訴訟を起こしている(関連記事)。2005年1月10日にカリフォルニア州で審理が始まる予定である。
またPeopleSoft社は,2004年第3四半期のライセンス収入が1億5000万ドルを超える見込みであることを明らかにした。「これは,当社が新規および既存顧客との事業で成功を収めており,競争力を維持できることを示すものだ」(PeopleSoft社)
◎関連記事
■米PeopleSoft,「裁判所の判決が当社に与える影響を検討する」とコメントを発表
■米PeopleSoft買収計画をめぐる米司法省との裁判で,米Oracleに軍配
■米司法省,米PeopleSoft買収を阻止すべく米Oracleの提訴を決定
■米Oracle,米PeopleSoftの株式公開買付期限を再度延期,買付額は1株当たり21ドル
■米Oracle,米PeopleSoftの新たな買収阻止対策に非難のコメント
■まだ続く,米Oracleが米PeopleSoftの株式公開買付期限を延期
■米PeopleSoft,米Oracleの買収額引き下げを受け「公開買付に応じないよう株主に勧告」
■米Oracle,米PeopleSoft株式買付金額の引き下げを発表
[発表資料(Oracle社のプレス・リリース)]
[発表資料(PeopleSoft社のプレス・リリース)]