米Watson Wyattは,オフショア・アウトソーシングに関する調査結果を米国時間8月5日に発表した。それによると,米国就業者の85%は,オフショア・アウトソーシングについて「米国経済に打撃を与える」と考えているが,「自身の仕事が海外に流失してしまう」と心配しているのは10%未満であることが明らかとなった。

 調査は米国の就業者約1200人に対して実施したもの。オフショア・アウトソーシングで自身が失職する可能性について,回答者の69%は「まったく心配していない」という。22%は「少し,またはある程度心配」しており,「非常に心配」しているのはわずか8%だった。

 ただし,専門職や技術職では,13%が「自身の業務が海外に流出するのを非常に懸念」している。上級管理職で同様の回答をした割合は7%だった。

 「米国人は,オフショア・アウトソーシングが経済にもたらす影響について非常に心配しているが,個人的な影響についてはほとんど気にかけていない」(Watson Wyatt社ディレクタのBruce Pfau氏)

 また,Watson Wyatt社が多国籍企業33社に別の調査を実施したところ,これらの企業の大半がすでに業務を海外に委託していた。オフショア・アウトソーシングの成果として,「製造コストの縮小」(65%),「業務効率の改善」(61%)などが挙げられた。

■オフショア・アウトソーシングに対する懸念についての統計(職務別)
 
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                    勤務先がオフショア・アウトソーシングを実施することについて
   
                           たいへん        少し,または            まったく
                       気にしている            ある程度      気にしていない
職務                                       気にしている
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上級管理職/監督職             7%                15%                77%
専門職/技術職(非管理者)    13%                30%                57%
時間給および事務職             6%                23%                71%
全体                           8%                22%                69%
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 出典:Watson Wyatt社

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