「英国企業は,インド,南アフリカ,フィリピンといった低コストの海外へコール・センター業務を移管することに疑問を持ち始めている」。米Intervoiceが米国時間5月25日に,コール・センター業務のオフショア・アウトソーシングに関する調査結果を発表した。英国企業の上級管理職92人を対象にインタビューを行ったところ,76%の回答者が,海外にアウトソースしたコール・センターのサービス品質に不満を示した。そのうち16%は,「非常に(品質が)悪い」と述べた。

 上級管理職の60%は,「今後,コール・センター業務を海外にアウトソースするつもりはない」と答えた。一方,「オフショア・アウトソーシングは長期的にみて,人件費,スタッフの離職,人材不足といったコール・センターの課題を解決できる」,とする回答者はわずか10%だった。オフショア・アウトソーシング以外に,これらの課題を解決する方策としては,回答者の70%が「音声オートメーション」を挙げた。

 Intervoice社のKen Jacobson氏は,「企業はオフショア・アウトソーシングに急ブレーキをかけ,音声オートメーションに関心を寄せはじめているようだ。オフショア・アウトソーシングの見通しは急激に雲行きが怪しくなった」と述べた。また同氏は,「インドや中国でも,現在英国企業がかかえている人材管理の問題に,まもなく直面するようになるだろう」と指摘した。

 企業はコール・センターの職務満足度が低いことを認めており,61%が「教育を受けた者にとって,職務内容は平凡すぎる」という意見に賛同し,56%が「キャリアを積む助けにならない」とみている。このような不満から能力のあるスタッフが離職し,あまりスキルのないスタッフに業務を依存しなければならないため,47%の企業がコール・センター管理に大きなストレスを感じている。そのうち8%は,「ストレスが耐えられないほど増大している」という。

◎関連記事
「オフショア・サービスの利用が多いのは通信とIT業界」,米調査
「アウトソーシングの増加によって英国GDPは160億ポンド増加する」,英調査より
「予想されるオフショアへのアウトソーシングの増加,必ずしもITサービス業の雇用縮小を決定付けるものではない」,米IDC
「オフショア・アウトソーシングは経済の活性化と雇用拡大をもたらす」,米調査
「IT企業は,海外アウトソーシングによって発生するリスクやコストを忘れてはならない」,米調査会社
米国でオフショア事業への風当たりが強まる
「米国直接製造業の110万人分の職が海外に流出する可能性がある」,米企業の調査
「2004年のオフショアBPO市場は前年比65%成長,しかしその後2007年まで停滞」,米Gartner

[発表資料(PDFファイル)]