米IDCは,オフショアへのソーシングが米国のITサービス市場に与える影響に関して調査した結果を,米国時間11月20日に発表した。IDC社は,「予想されるオフショアへのアウトソーシングの増加が,必ずしも米国のITサービス業と雇用の縮小を決定付けるものではない」と結論付けている。同調査は,米国のITサービス・ベンダーに対して実施したもの。

 同社によれば,米国の企業に提供されるITサービスの中で,オフショアにアウトソースされる割合は,2003年の5%が2007年までに23%に上昇するという。一部で影響を懸念する声が上がっているが,同社は,アウトソースされる業務がごく一部に限定されているため,たとえ増加しても全体に与える影響は小さいとしている。

 また,多くのオフショアへの支出は,地元をベースとするベンダーを介して行なわれている点,そして,見逃されているもっとも大きな要素として,たとえ海外に職が流れても米国内の需要増加がこれを上回る点を挙げている。他にも失業の危険にさらされると考えられる米国労働者の大半は,新しい技術を獲得することによって企業から求められる人材であり続けるという。

 サービスの分野別にみると,プロジェクト中心型サービス,アウトソーシング,サポート/トレーニングといったマクロ市場は,オフショアによって一様の影響を受けるという。しかし,プロジェクト中心型のサービスに関しては,その他の市場要素によってさらに縮小する可能性があるという。また,メインテナンス,サポート,実装,オペレーションの部門はオフショアの影響を受け,プランニング,IT教育,トレーニングは比較的影響を受けにくいという。

 「オフショアに委託される業務の大部分は,プロセスと再現性が重視されるため技術要件が低い傾向にあると考えられる。革新的な技術や事業の深い専門知識が必要とされる部分は,引き続き国内から提供されるだろう」(同社Worldwide Servicesプログラム・マネージャのNed May氏)

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