米IDCが米国時間11月13日に,米国のITアウトソーシング市場に関する調査結果を発表した。それによると,今後5年間のITアウトソーシング・サービスの市場規模は,顧客の分野によって大きく異なるという。IDCは16分野の垂直市場について調査を行い,「政府,金融,サービス,製造業界の成長率がほかの分野に比べ高い」と予測する。

 IDCは,「景気低迷の影響を大きく受けた分野もあるが,そのほかでは引き続き技術やITアウトソーシングに投資している」と指摘する。ただし,今後5年間におけるITアウトソーシング市場の年平均成長率は分野によって大きな差があり,「通信/メディアと教育分野では3.5%,政府分野は7.4%などさまざま」(同社)という。

 分野と市場規模の関係について,IDCのITアウトソーシング&ユーティリティ・サービス調査担当プログラム・マネージャのDavid Tapper氏は,「アウトソーシング・サービスの約80%はあらゆる分野に適用可能だが,残りの約20%は各分野固有の条件に合わせて提供しなければならない。我々はこの状況を,アウトソーシング・サービス垂直化に関する80/20ルールと呼ぶ」と説明する。

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・セキュリティと高可用性に関するサービス・レベル契約(SLA)は,しばしば業界の変動に応じて調整する必要がある

・顧客の求めるアウトソーシング・サービスの内容は,顧客の分野によって異なる。たとえばモバイル機器関連のアウトソーシング・サービスを重要視する度合いは,健康/医療や自動車分野の方が,プロフェッショナル・サービスや金融分野よりも強い

・アウトソーシング・サービスの利用が多い分野には,収益率の低さ,IT化の遅れ,最新IT関連技術の導入に迫られているといった特徴がある

・従来型のITアウトソーシング・サービスは,オンデマンド・サービスへと置き換わりつつある

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