米Intelが,32ビットと64ビットの両アプリケーションを動作させる技術「Intel Extended Memory 64 Technology(Intel EM64T)」対応の新型プロセサ「Xeon」(開発コード名は「Nocona」)を米国時間6月28日に発表した。新プロセサはワークステーション向けで,動作周波数2.80GHz~3.60GHzの5モデル用意する。Intel社は,同プロセサ用の新型チップセット「Intel E7525」(同「Tumwater」)についても発表した。

 新プロセサはIntel EM64T対応により,64ビットのメモリー空間が利用可能となった。製造プロセスは90nmルール。そのほかの主な特徴は以下の通り。

・Demand Based Switching(DBS)とEnhanced Intel SpeedStep Technologyの連携:
 要求される処理負荷に応じて消費電力と処理能力を動的に変化させ,消費電力低減を図る

・強化版Intel Hyper-Threading Technology:
 マルチスレッド化されたアプリケーションをより高速に処理できるよう設計した

・強化版Streaming SIMD Extensions 3(SSE3)命令:
 マルチメディア命令の強化によりスレッド同期が改善され,マルチメディアやゲームなどでシステムの応答性が向上する

・PCI Express対応:
 AGP8Xに比べ帯域幅が2倍になり,ストレージやネットワークの処理も高速化する

・DDR2メモリー対応:
 DDR 333メモリーに比べ,最大40%の省電力化が可能。1チャンネル当たり最大4つのDIMMを400MHzで接続でき,メモリー帯域幅はDDR 333に対し最大11%増となる

・システム・バスのクロック周波数は800MHz:
 従来製品に比べ,スループットが50%向上する

 「こうした性能強化により,これまでの製品に比べ処理性能は最大30%高くなった。同時に,消費電力と総所有コスト(TCO)の削減も可能」(同社)

 同社は,Intel EM64Tなど新プロセサの持つ技術に対応したアプリケーションを開発するためのツールについて,ベータ版の提供を開始した。最終版は2004年終盤に利用可能とする。

 新プロセサの1000個ロット時の単価は,3.60GHz版が851ドル,3.40GHz版が690ドル,3.20GHz版が455ドル,3GHz版が316ドル,2.80GHz版が209ドル。現在3.60GHz版は数量限定で利用可能な状態。同社は2004年第3四半期の量産立ち上げに向け,作業を進めている。E7525チップセットの1000個ロット時の単価は100ドル。

 また同社は,Intel EM64T対応のサーバー版プロセサを「数カ月中に提供する」ことも明らかにした。サーバー版は,チップセット「Intel E7520」(開発コード名は「Lindenhurst」)または「Intel E7320」(同「Lindenhurst-VS」)と,I/Oプロセサ「Intel IOP332」(同「Dobson」)との組み合わせで動作する。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,サーバー向けのIntel EM64T対応プロセサの提供予定について,Intel社エンタプライズ・プラットフォーム・グループ担当ジェネラル・マネージャのAbhi Talwalkar氏が「60日以内にリリースする」と述べたという。さらに,「2004年終盤から2005年初めには,4ウエイ以上のサーバー向けのIntel EM64T対応プロセサも計画している」(同氏)。

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