米Hewlett-Packard(HP)はカナダのモントリオールで開催中の「HP Software Forum」で,企業のCIOに向けた一連のITインフラ管理ソリューションやソフトウエアを,現地時間6月15日に発表した。「CIOが『Adaptive Enterprise』の実現に向けて,社内の業務,ITサービス・アプリケーション,インフラをリアルタイムで管理できるように支援する」(HP社)

 HP社は,新しいソフトウエアや買収した技術などを,同社のITインフラ管理プラットフォーム「OpenView」と組み合わせ,(1)ビジネス管理,(2)ITサービス管理,(3)アプリケーション管理,(4)インフラ管理の,4つの分野に重点を置いたソリューションを提供する。

 ビジネス管理では,「OpenView Business Process Insight」ソフトウエアを提供し,財務データに基づいてビジネス・プロセスとITリソースを効率的に連携できるようにする。例えば同ソフトは,ネットワーク障害や電子商取引におけるレスポンスの遅延が売上高に与える影響などを,実際の財務データに換算して示すことができる。

 ITサービス管理では,SLA(サービス・レベル契約)に関連したITイベントを即座に評価し,サービス品質の最適化を行えるようにする。HP社は「OpenView Service Desk」を,「OpenView Operations」といったバックエンド管理ツールと統合することで,「障害の特定と修復に要する時間を56%削減」(同社)するなど,ITスタッフの生産性を大幅に向上できるとしている。

 アプリケーション管理では,商用およびカスタム・アプリケーションと,アプリケーションが動作するインフラの性能と可用性の向上を支援する。さらに,「PartnerONE」プログラムの一環として「Enterprise Management Services」を提供し,パートナー企業がOpenView対応のアプリケーションを迅速に開発できるように支援する。

 インフラ管理では,サーバー,ストレージ,ネットワーク,パソコン,印刷および画像処理機器など,ITインフラの安定化と最適化を支援する。また,「OpenView Route Analytics Management System」を提供し,ネットワークをITインフラではなくサービスとして管理できるようにする。同ソフトはネットワーク・データを収集後,15秒ごとに報告を行うので,問題の特定と修復を迅速化できるという。

 HP社 Management Software Organization担当ジェネラル・マネージャのTodd DeLaughter氏は,「CIOが,IT性能だけでなく,ビジネス的観点からリアルタイムで意思決定を行えるように,OpenView製品系列に磨きをかけた。当社の狙いは,ビジネスの変化とITインフラを動的に結びつける管理ソフトを提供することだ」と説明した。

◎関連記事
米HP,米ソフト会社2社を買収し「OpenView」に自動化機能を付加
米HP,「Adaptive Enterprise」戦略推進で新たな技術とサービスを発表
米HP,大企業向けの新戦略「Adaptive Enterprise」に向けて「HP OpenView」製品の機能強化
日本HPがOpenViewの新製品11製品を出荷へ,サービス・レベル管理機能も9月に提供
米IBM,グリッド/自律型コンピューティング活用の新サービスを発表
管理者1人で500台のサーバーを運用可能に---米サンが自律コンピューティング構想「N1」の詳細を発表
解説●自律コンピューティングの理想と現実(上)
自律コンピューティングで火花(上)――HPとサンが自社構想を発表,IBMを追撃へ

[発表資料へ]