米HP(Hewlett-Packard)は,知的にインフラを管理することにより,企業のITに関わる複雑さを削減するための方針を米国時間6月16日に発表した。これは,同社が5月に発表した,コンピュータ自身が適性を管理するコンピューティング構想の大企業向け戦略「Adaptive Enterprise」をさらに進めたもの。
その一環として,同社は,企業のIT責任の測定とITリソースの利用最適化を支援するために,30を越えるHP OpenView製品,ソリューション,サービスの機能強化を提供する。これらは,米イリノイ州シカゴにて「HP Software Forum」にて発表される。
「新しいHP OpenView管理機能のホスト,標準ベースのインタフェースの統合により,企業がインフラ全体において適応性が高くコスト効率に優れた管理のプランと移行を支援する」(同社Software Global事業部門シニア副社長のNora Denzel氏)
同社によれば,適応型企業になることとITへの投資効率の向上は,企業が事業の変化を予測して,柔軟に対応できるようにするインフラを知的に管理することによって達成される。ITインフラ構築の中心となるフレームワークを容易かつ迅速に需要の変化に対応させるために,同社が掲げた「Darwin Reference Architecture」では,次のように述べている。
1.ビジネスの安定性
運用中心型の管理は,総所有コストを削減するように設計される。ネットワーク,サーバー,クライアント,出力,ストレージ・デバイス,アプリケーションを通じて,IT管理者にインフラ運用を安定化させ制御する手段を提供することにより達成される。
2.ビジネスの効率性
サービス中心型の管理。ITインフラをITが企業に提供するサービスと統合と提携により,ビジネスの効率と効果が向上する。
3.ビジネスの機敏性
ビジネス・プロセスの管理には,管理の適合性が必要。ビジネス・プロセスの認識により,ITインフラが自動的に適切なリソースを適時に正しい問題に割り当てなければならない。
同社は,これらの構想をもとにAdaptive Managementに向けてHP OpenViewソリューションの新製品と機能強化を発表している。その一部は次の通り。
ビジネスの安定性に向けては,バンドル製品「HP OpenView Network Node Manager Advanced 7.0」を投入する。同製品は,ネットワーク支障,レイヤ2とレイヤ3のパフォーマンスの問題分析機能を提供する。
サービス中心型の管理では,ITサービスの配信とビジネス目標のつながりを向上させるために「OpenView Service Navigator Value Pack」を提供する。同製品は,「HP OpenView Service Desk」との共通のデータ・レポジトリを統合することにより,重要な情報の共有手段を提供する。既存のITリソースで予備的な管理が可能になり,サービス・レベルが維持できるとともに,サービス・レベル契約の違反が回避できる。
ビジネス・プロセスの管理では,新製品「HP OpenView Business Impact Analysis」を投入する。企業は,インフラ障害やパフォーマンスの低下による事業へのインパクトを予測できる。ビジネスの優先順位とITの優先順位をリアルタイムで連携できる。
また,同社は,エンド・ユーザーが適応型企業になるのを支援するために,統合機能を強化したことも別の発表で明らかにしている。
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