米Hewlett-Packard(HP)は,ITリソースの効率的な共有と利用に向けた新たな技術とサービスを米国時間12月4日に明らかにした。HP社はこれらの技術とサービスで,コンピュータ自身が適性を管理するコンピューティング構想の大企業向け戦略「Adaptive Enterprise」の推進を図る。

 ITリソースを蓄積し,ニーズに応じて自動的に供給して効率的な利用を実現するための環境構築を,HP社は「バーチャライゼーション」と呼ぶ。バーチャライゼーションにより,「ITコストを節減すると同時に,事業の機敏性を身につけ,市場状況の変化や顧客の要求に即座に対応することができる」(HP社)

 今回発表した技術とサービスは,サーバーやストレージ装置などの各ITリソースに向けた「エレメント・バーチャライゼーション」,複数のITリソースを統合する「統合バーチャライゼーション」,異なる様々な種類のITリソースを最適化する「ITユーティリティ・ソリューション」の3種類に分類される。主な内容は以下の通り。

■エレメント・バーチャライゼーション
・使った分だけ課金する従量制のpay per use(PPU)価格モデルを,サーバー,画像処理および出力機にも拡大する。

・クラスタリング・ソフトウエア「Serviceguard」ファミリに,「Serviceguard for Linux for Integrity servers」「Serviceguard Extension for SAP for Linux」「Serviceguard Extension for Faster Failover」などの新製品を追加。

・SLA(サービス・レベル契約)に応じてITリソースを動的に割り当てる「HP Virtual Server Environment」のポリシー・エンジン「HP-UX Workload Manager」で,ハードウエア・パーティション間における「Instant Capacity on Demand」ライセンスの自動的な移行を可能にした。

■統合バーチャライゼーション
・従来のデスクトップ・コンピューティングの代わりに,データ・センターのストレージやブレード型パソコンに1対1で接続するアクセス装置のコンピューティング環境を構築する「HP Consolidated Client Infrastructure」ソリューション。当初は,米大陸で利用可能とする。

・バーチャライゼーション環境における「BEA WebLogic Server 8.1」や「Oracle9i Database」の実働までの時間を短縮する「HP Virtual Server Environment Quick Start」ソリューション。

・Serviceguardで,「Oracle9i Real Application Clusters」をサポートしたことにより,100km離れたデータ・センター間で,アプリケーション,データベース,サーバー,ストレージの共有を可能にする。

・Instant Capacity on Demand機能を「HP ProLiant BL」サーバーに対応させる。ユーザーは,必要なときに同サーバーを稼働させ,使った分だけ料金を支払えばよい。

■ITユーティリティ・ソリューション
・統合メッセージング・ソリューション「Tiered Messaging on Demand」で,4段階のサービス・レベルを設け,各段階別の価格と機能を用意する。

・ITサービス機能を利用した分に応じて,自動的に請求および報告する「Automated Service Usage」を提供。

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