米IBMが,独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)向けの支援策を米国時間5月27日に発表した。グリッド/オンデマンド技術を利用してハードウエアおよびソフトウエア・リソースをインターネット経由でISVに提供し,ソリューション構築や販売を支援する「IBM Virtual Loaner Program」という取り組みを始める。さらに,ISV支援プログラム「Application Enablement Program(AEP)」で,アプリケーション・ホスティングやアプリケーションのサービス化に関する技術/教育リソースも新たに提供する。

 IBM Virtual Loaner Programは,IBM社の「IBM Virtual Innovation Center(VIC)for Hardware」の新しい取り組み。中規模顧客を持つ中小ISVを対象とする。ISVは,AIXが動作するサーバー「IBM eServer pSeries」とストレージ製品「TotalStorage」による環境を,365日24時間インターネット経由で利用できる。

 IBM Virtual Loaner Programにログインすると,1台または複数台の仮想サーバーを最大14日間利用するスケジュールをISV自身が組める。2時間程で論理パーティション構成と設定が自動的に済み,使用可能となる。設定は保存されるので,後日アクセスしたときには同じ環境が使える。必要に応じ,システムの処理性能などの拡張も随時行える。

 IBM社のリソースを遠隔地から利用できるので,各ISVがハードウエアとソフトウエアを実際に用意して設定する必要がなくなる。「ISVは最新版の当社製ハードウエア/ソフトウエアが利用できるほか,さまざまなeServerプラットフォーム用アプリケーションも動かせる。実物の試験用システムを購入/設定する際の時間と経費の節約にもなる」(同社)

 一方,AEPの新しい技術/教育リソースは,同社のホスティング・サービスなどをISVに紹介することが目的という。さらに同社は,「開発期間の短縮によりアプリケーション・ホスティング戦略の実装を支援する」というワークショップの開催も予定している。

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