米IDCが米国時間3月13日に,ユーティリティ・コンピューティングに関する調査結果を発表した。それによると,調査対象となった34社のうち約65%がこの種のサービスの利用に興味を示しているという。

 ユーティリティ・コンピューティングは,オンデマンド・サービスとも呼ばれる従量制課金方式のサービス。ユーザーは必要なときに必要な分だけ演算能力などを使い,使用した分に相当する料金を支払うことになる。

 IDCでは,ユーティリティ・コンピューティングを次世代型IT供給サービスとみなす。「ITは,サービス・プロバイダが管理し提供するものから,(電気や水道のような)公共サービスに変わりつつある」(IDC)

 IDC,IT Outsourcing and Utility Services部門プログラム・マネージャのDavid Tapper氏は,「現在ユーティリティ・コンピューティング市場は初期段階にあるが,この種のサービスに関心を持つ顧客の数は非常に多い」と述べる。

 「同サービスがIT/通信サービス・プロバイダや技術ベンダーの“生態系”に大きな影響をおよぼす可能性を考慮すると,この市場で成功したいと思う企業はまず,戦略やサービス,市場での地位を確立する手がかりをつかむことが重要だ。そこから,優位な立場を確保できる可能性が開ける」(同氏)

 IDCは,サービス・プロバイダがユーティリティ・コンピューティング市場で成功するために必要な条件を挙げた。主な内容は以下の通り。

・顧客に対し,ユーティリティ・コンピューティング自体とそのメリットを徹底的に啓蒙する

・顧客組織内に強力な推進者を作り上げる

・特にユーティリティ・コンピューティング・サービスで提供する内容について,顧客の懸念を取り払う

・市場における自社の位置とユーティリティ・コンピューティング戦略をより明確に定義する

・顧客の信頼を高めるため,魅力的で確実な価値命題を提供する

・POSへのアクセスを保証する強力なチャネル戦略を展開する

・早期導入に注力する

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