「無線ICタグ(RFID)の単価が5セントにならないと日用消費財(CPG)の流通管理に普及しないとされるが,こうした意見はより重要な問題を隠してしまう」。米ABI Researchは米国時間4月7日に,無線ICタグ(RFID)に関する調査結果を発表したもの。「“5セント・タグ”はRFID成功の鍵の1つではある。しかし,最重要課題のトップ5には入らない」(ABI Research社主任アナリストのErik Michielsen氏)

 米Wal-Mart StoresなどのRFID規定に従うには,タグのコスト以外に多額の投資が必要という。「そこで多くの企業は,導入経費を抑えるために安いタグを採用した。なかには,“将来タグの価格が下がるだろう”というだけで導入を遅らせている」(同社)

 Michielsen氏は「適切な取り組み,計画,協力がない状態で安価なRFIDハードウエアを導入しても,CPGについては,サプライヤが考えているようなRFIDによるメリットは長期的には得られない」と述べ,タグの価格以外の問題に目を向けるよう主張する。

 また同氏は,米メディアの報道(TechWeb)のなかで次のように語っている。「タグの単価が5セントになったとしても,数10億個も発注できないし,RFID用インフラを準備できるわけでもない。しかし企業は取り組む必要がある。時間がかかるが,すべての条件が整えばRFIDは爆発的に普及する。それはまもなく起るだろう。その時に取り残されたくはないはずだ。5セント・タグの問題に単純化してしまうと,ポイントを見逃す」

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