米IDCが米国時間1月7日に,米小売業界での無線ICタグ(RFID)に関する調査結果を発表した。それによると,同業界におけるRFID市場の規模は,2003年の9150万ドルから,2008年には13億ドル近くに拡大するという。RFID関連支出のなかで最も多い費用はハードウエア購入費で,2007年に8億7500万ドルに達する。

 RFID関連サービスは当初急速に成長するが,2005年以降は勢いが落ち,2007年に2億7000万ドル弱の規模となる。それに対しRFIDミドルウエアを必要とする企業の数が徐々に増えることから,ソフトウエア支出の増加は2005年以降に加速する。

 IDCはRFID市場拡大の要因として,「米Wal-Mart Storesや米国防総省(DoD)がRFIDの使用を義務付ける」ことを挙げる。「多くのサプライヤや販売店は現在のところRFID技術をよく理解していないが,すぐにケースやパレットへのRFID適用を求める顧客に対応する必要が生ずる」(IDC米国垂直市場調査担当プログラム・マネージャのChristopher Boone氏)

 「RFIDから取得したデータを活用するための業務手順の変更については,修正すべき企業アプリケーションを見極める必要がある。つまり,RFIDシステムをどのように設計/展開するかをきちんと検討しなければならない。ところが現在,RFID導入が業務を決定しており,本来の姿とは逆になっている」(同氏)

 また同社は,「初期導入が一段落すると,業界では(それまでのケース/パレット・レベルではなく)アイテム単位のシステムへの準備作業に入るため,RFID関連支出は頭打ちになる」と予測する。

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