日米欧の企業や大学が参加する、ICタグ関連の国際組織「オートIDセンター」は1月22日、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス内に研究拠点を設立した。ICタグの実用化に向けた研究や、同センターが策定した標準仕様の普及活動に4月から取り組む。

 ICタグの利用に関する国際的な研究拠点は、国内でこれが初めて。「日本はサプライチェーン・マネジメントとエレクトロニクスの分野で世界をリードしている。我々の研究活動もこれらの分野と密接に関係しているだけに、日本の知識が欠かせない」。オートIDセンターの最高責任者であるケビン・アシュトン エグゼクティブ・ディレクタは、日本に活動拠点を設立した理由をこう説明する。

 国内におけるオートIDセンターの研究および普及活動は、慶応大学の村井純教授が指揮する。アシュトン エグゼクティブ・ディレクタは「ICタグをインターネット技術の一つだと捉えて研究を進めている。そうした意味では、世界的でもインターネット技術に最も詳しい村井教授ほどの適任者はいない」と語る。

 ICタグとは、ごま粒大のICチップと無線通信用のアンテナからなる小型装置のこと。国内では昨年夏から、サプライチェーンの効率化や顧客サービスの向上を目指す企業の間で、ICタグを実用化する動きが活発になっている。

栗原 雅=日経コンピュータ