「ICタグと商品追跡技術を使用することで,メーカーや小売店は毎年数十億ドルの経費を節約できる」。米Accentureが米国時間6月12日に,電子製品コード(EPC)と無線ICタグ(RFID)を組み合わせるオートID技術に関する調査結果を発表した。

 Accenture社は,「オートIDソリューションを使うと,製品がメーカーから小売店を移動する際の場所と状態を正確に把握できるようになる」と説明する。その結果,「生産,資産活用,需要/供給予測や在庫管理の業務内容を改善し,最終的には顧客満足度の大幅向上につながる」(同社)。

 同社の予測によると,「2005年には多くのメーカーがRFID技術を導入して,貨物輸送用パレットやケースの追跡を行うようになる。なかでも,家電製品や食料品を手がけるメーカーの導入が増える」という。オートID技術を使用すると,メーカーは以下のようなメリットを得られると,Accenture社は述べている。

・製品の原材料や,製造中の製品および完成品の在庫量を削減できることから,運転資金を2%~8%減らせる

・装置のメンテナンス状況を改善し,利用効率を高めることで,固定資産を1%~5%節約できる

 小売店では,製品の受け取り/棚卸/倉庫への保管/店頭への積み出しといった作業から店員を解放し,顧客対応業務に回すことができる。またAccenture社は,「オートIDの最も有効な分野は,在庫管理関連業務だ」と指摘する。主に以下のメリットを得ることができる。

・在庫状況の改善により,最大3%の売上増が期待できる

・削減できる人件費の割合は,製品受け取り作業で最大65%,棚卸/確認で25%となり,人員による確認作業は100%なくすことが可能

・製品の損失を,販売量の1%近くに減らせる

 そのほかの調査結果は以下の通り。

・今後12~24カ月のあいだに,パレットやケース・レベルでオートIDの利用が広まる。製品レベルの導入時期は,対象となる製品分野の経済状況と,タグの価格によって変わる

・小売店は12~18カ月後にオートIDソリューション導入を考えており,メーカーの計画よりも多くの分野,より細かいケース/製品レベルへの適用を予定している

・複数ベンダー間の相互操作性を確保するために,標準仕様が重要な役割を担う

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