米EDSのコンサルティング事業A.T. Kearneyが米国時間3月8日に,日用消費財(CPG)メーカーや小売り販売業者の無線ICタグ(RFID)導入に関して調査した結果を発表した。米Wal-Martが業者にRFID対応を要請していることから,業界では企業が次々とRFID導入に着手している。2004年と2005年は,多くのテスト・プロジェクトが行われ,RFIDで何が実現できるのかを小売業者,CPGメーカー,技術ベンダーが学ぶことになる。

 現在,多数のベンダーがRFID技術の開発に取り組んでいるが,2006年半ばには主流ベンダーが頭角を現しはじめると,A.T. Kearney社は予測する。「企業は,在庫切れを回避したり,人件費を削減するなどの効果を最大限に引き出す実際的な手法を検討する必要がある」(A.T. Kearney社バイス・プレジデントのDave Donnan氏)

 A.T. Kearney社は,RFIDへの移行を成功させるために,主に以下の点を重視するべきだとアドバイスしている。

・完全なデータ同期を図る。業界がデータ・フォーマットの標準化に向かって動いているにもかかわらず,いまだに多数のメーカーが不正確な商品データをやりとりしている。A.T. Kearney社は,データの同期によって,売上高10億ドルごとに100万ドルの追加利益が得られるようになると分析する。

・消費者の理解を高める。消費者はプライバシに関する懸念を抱いているが,これはRFID技術に対する理解不足と誤解から来ている。RFIDのテスト使用を重点的に展開し,「食品の安全性を確認しやすい」「偽造薬品などを監視できる」「簡単に保証情報を参照できる」といった利点を実感してもらうべきだ。

・数年間は複数のシステムを並列管理する。在庫管理システムは移行期間中に,バーコードやRFIDなど様々な異なるデータ取得技術に対応しなければならない。

・ビジネス・プロセスをRFIDシステムに対応させる。梱包ケースごとに商品を追跡することで,在庫管理,配送確認,回収管理などの向上が期待できるが,そのためには既存のビジネス・プロセスを大幅に変更する必要がある。

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