米In-Stat/MDRは米国時間4月6日に,米国のブロードバンド市場に関する調査結果を発表した。それによると,2003年末時点で,企業ユーザーと一般ユーザーを合わせた米国のブロードバンド利用者数が約2700万人に達した。この拡大したユーザー層が,家庭内ネットワークおよびエンターテインメント,VoIP,オンライン・ゲームなど,さまざまなブロードバンド・サービスの普及を後押しする見通しだ。

 In-Stat/MDR社上級アナリストのDaryl Schoolar氏は,「ブロードバンド・ユーザーがクリティカル・マスに達したことで,ブロードバンドとブロードバンドを利用したさまざまなアプリケーションの両方が,相乗効果で成長する時期に入った」と説明する。「ブロードバンドの普及によって,サービス・プロバイダのサービス品質も向上するため,企業ユーザーも恩恵を受けるだろう」(同氏)

 しかし,ブロードバンドの普及に伴い,コンピュータやインターネットに慣れ親しんでいないユーザーもサービスを利用するようになるため,サービス・プロバイダは新たな課題に直面する。「顧客サポートが,技術的な問題を自身で特定できないユーザーの対応に追われるのは必至だ。それでもブロードバンドが提供する商機を考えると,充分に採算はとれるはずだ」(Schoolar氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2003年末時点で,ブロードバンド・サービスを利用する米国世帯は5分の1に達した。

・米国では,ブロードバンド接続にケーブル・モデムが最も利用されている。以下,DSL,固定無線ブロードバンドが続く。

・世界市場では,ブロードバンド接続にDSLが最も利用されている。米国以外の国々では,ケーブル・データ・サービスが少なく,住宅地が密集しているためである。

・電源線を利用したブロードバンドがようやく実用期に入りつつある。

・FTTH(家庭向け光ファイバ通信)は,コストと規制が障害となって普及が遅れている。

・2003年末時点では,ケーブル事業者6社でケーブル・モデム利用者の91%を占めている。利用者の大半を獲得しているのは,米Comcastと米Time Warner。

・2003年末時点では,DSLサービス事業者5社でDSL利用者の94%を占めている。利用者の大半を獲得しているのは,米SBCと米Verizon。

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