米In-Stat/MDRは米国時間1月12日に,固定無線ブロードバンド市場に関する調査結果を発表した。それによると,2003年の市場規模は5億5870万ドルだったが,2007年末には12億ドルに成長するという。

 「これまでは,標準規格が欠如しているために固定無線ブロードバンド・システムの導入が遅れていたが,IEEE802.16や同802.20といった新たな標準規格の登場により,市場は劇的に成長する」(In-Stat/MDR社)

 固定無線ブロードバンドは,いわゆる「最後の1マイル」のほか,ネットワーク・バックホール,私設ネットワークの3分野で主に普及が進む。「有線ブロードバンド技術や基本的な銅回線インフラがカバーしきれない地域がまだ残っていることから,固定無線ブロードバンドに対する需要と関心は高い。また,消費者及び小企業のインターネット・アクセスだけでなく,携帯電話のバックホールや都市部のEthernetとの接続,私設ネットワーク構築においても,固定無線ブロードバンドの需要が増えるとみる」(In-Stat/MDR社上級アナリストのDaryl Schoolar氏)

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・802.20標準規格は802.16では解決できなかった課題を克服するが,802.16に取って代わるのは2008年以降になる。802.16の方が先に市場に登場した強みがあり,また,まもなく策定される802.16eがエンド・ユーザーのモバイル環境をサポートするためである。

・WiMAXフォーラムが802.16の普及に大きな役割を果たす。WiMAXフォーラムは,無線ブロードバンド接続機器の互換性と相互運用性の普及促進を目的とした団体で,米Airspan Networks,イスラエルのAlvarion,米Aperto Networks,米Ensemble Communications,米Fujitsu Microelectronics America,米Intel,フィンランドのNokia,OFDM Forum,米Proxim,カナダのWi-LANなど,大手無線関連企業が参加している。WiMAXによると,同団体の参加企業が生産する固定無線ブロードバンド装置は,世界全体の75%を上回るという。

・第三世界では,データ配信における802.16導入の恩恵はあまり期待できない。ただし,音声通信で成長が見込める。

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