米Adobe Systemsは米国時間3月8日,PDFファイルに二次元バーコード技術を統合し,大量の文書を効率的に処理できるソリューションを発表した。同社が無償で提供するPDF閲覧ソフト「Adobe Reader」を組み合わせ,XML対応の企業市場向けプラットフォーム「Adobe Intelligent Document Platform」の新製品として提供する。

 企業や政府機関は,口座開設,所得申告,有権者登録,住所変更届など,紙媒体で大量に提出される文書を手動で入力しないですむため,コストを削減し入力ミスを減らすことができるという。

 企業は,従来の一次元バーコードより,はるかに多くの情報を記録できる二次元バーコード対応のPDFファイルを作成し,WWW,電子メール,CD-ROMなどでファイルを配布する。エンド・ユーザーが,Adobe Readerを使ってオンラインもしくはオフラインで必要事項を入力すると,別フィールドにファイル作成者が指定した形式で,二次元バーコードに変換される仕組み。企業は,エンド・ユーザーが提出した印刷済みPDFファイルのバーコードをスキャンして,データベースなどのバックエンド・システムで処理させる。

 なお,二次元バーコード対応のPDFファイルは,「Acrobat 6.0 Professional」で今後提供されるプラグインか,「Adobe Designer」の将来版で作成できる。

 Adobe社Intelligent Documents Business部門担当上級副社長の Ivan Koon氏は,「企業や政府機関は,規制準拠,平等なアクセスの提供,レガシー・システムとの互換性といった理由から,紙媒体で必要な文書の提出を求める場合が多い」と説明する。「この新しいソリューションはPDFを基盤にしているため,紙の書類と電子フォームを,単一のプラットフォームで処理できる。また,より正確なデータに迅速にアクセスできることは言うまでもない」(同氏)

 同ソリューションはパイロット版を経て,2004年末までに出荷を開始する予定。価格と発売時期は2004年後半に明らかにする見通し。

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