国や地方に収める税金や納付金、電話などの公共料金を、銀行のATM(現金自動預け払い機)やインターネットなどで24時間納付できる電子収納サービス「Pay-easy(ペイジー)」が、19日から本格稼働した。小泉内閣が推進する「電子政府構想」の決済インフラの役割を担うもので、税金や公共料金をATMやインターネット、電話機などから時間を問わず支払えるようになる。今後は地方自治体の手数料や、NHKの受信料、通信各社の通話料金などにも利用を拡げる予定。ペイジーを採用する公共団体や民間企業からシステム構築の需要が生まれそうだ。

 ペイジーは金融機関や政府、公共企業などが参加する「日本マルチペイメントネットワーク推進協議会」などが推進母体となり、2001年10月にNTTドコモとみずほ銀行、日本郵政公社が対応サービスを開始した。19日からは、国への電子申請に付随する手数料や登録免許税の一部、労働保険料など、政府に対する電子納付サービスが開始。支払いを受け付ける金融機関も1200行以上に広がった。

 今後は地方自治体に利用が拡がる予定で、東京都が1月中に一部手数料の収納で採用するほか、兵庫県下の3市の共同実験が今春に始まる。また公共料金では、既に採用済みのNTTドコモ、フュージョン・コミュニケーションズなどに加え、4月にKDDI、今春にNHKなどが採用する予定だ。「料金を収納する側の金融機関はほぼシステム構築を終えたが、今後は収納を委託する地方公共団体、民間企業のシステム構築需要が生まれそうだ」(参加企業の1社であるNTTデータ ビジネス開発事業本部マルチペイメントネットワークビジネスユニット長の釘宮英治氏)という。

 ペイジーは、発行する請求書や納付書ごとに、10ケタ程度の「お客様番号」とパスワードに相当する「確認番号」を割り振る。利用者は、ATMやインターネット・バンキングを介して、その番号を打ち込んだ上で、口座振替などによる決済を行う。支払いの情報は電子的に処理されるため、金融機関にとっては紙の受領証を収納の受託元に渡すといった手間が無くなり、手続きコストを大幅に圧縮できるメリットがある。利用者にとっては支払い手段が多様化し、24時間の納付も可能になる。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス