米DoubleClickと米Nielsen//NetRatingsは,2003年のオンライン広告市場に関して共同で調査した結果を,米国時間3月1日に発表した。それによると,2003年第1四半期から第4四半期にかけてオンライン広告数は49%増加した。2003年はオンライン広告支出の成長率が,一部のオフライン広告媒体を上回るなど,盛り返しをみせたという。

 2003年第1四半期のオンライン広告支出は前年同期より11.3%増加し,ローカル・テレビ(同3%増),屋外広告(同5.2%増),ネットワーク・テレビ(同12.1%減)などを大きく上回った。第3四半期には前期比5.9%増と成長が減速したものの,テレビの成長率(同3.5%増)を上回った。

 業界別にみると,自動車業界の広告インプレッション数が前年比74.9%増と最も伸びた。また,番号ポータビリティ制度の導入が,電気通信業界のオンライン広告を活性化し,インプレッション数が同31.2%増となった。

 広告支出全体でオンライン広告が占める割合は,ビジネス/雇用関連で48.5%,旅行業界で15.4%,小売り業界で8.7%。また,Fortune 500企業も平均して広告支出の28.5%をオンライン広告にあてており,同市場が着実に成長していることを示唆している。

 広告主を広告支出ベースでみると,2003年は電気通信や財務サービス関連の企業が上位に名を連ね,米Amazon.comや米AOL Time WarnerのAmerica Online(AOL)など,ドット・コム企業が目立った2002年とは対照的な結果となった。2003年の上位広告主は,米SBC(前年比168.1%増),米AT&T Wireless(同21.3%増),米Verizon(5.6%増),米Ameritrade(同22.8%増),米BankOne(同11.9%増),米Scottrade(同26.7%増),米Ameriquest(同352.7%増), 米Citigroup(同3.8%増),米LowerMyBills.com(同775%増)など。

 広告の種類別にみると,リッチ・メディアが目覚ましい成長を遂げ,第1四半期から第4四半期にかけて223%増加した。第4四半期には,リッチ・メディアが広告全体で占める割合は39.7%になった。

 広告形態別にみると,検索サービスの成長が顕著だった。しかし,検索サービスと組み合わせた広告が,すべての製品カテゴリで効果的でないことも分かった。インターネットで製品やサービスを調べる際,検索サービスを利用するユーザーの割合は,民生電子機器の場合で58%,処方薬の場合で53%だった。一方,電気通信関連は38%,クレジット・カードや金融サービスはわずか20%で。検索サービスを利用するユーザーが少ないカテゴリは,ブランド名が確立されている場合が多いため,URLを当て推量で入力する可能性が高いという。

 「2003年は,オフラインで広告を打っていた大企業が,オンライン広告にも力を入れるようになった最初の年である。オンライン広告市場はまだ成熟しておらず,今後,広帯域の普及とともに一層の拡大が見込めるだろう」(Nielsen//NetRatings社Client Analytics担当副社長のCharles Buchwalter氏)

◎関連記事
「2004年の米国広告支出は7.8%増の1384億ドル,インターネット広告は12.1%増」,米社の予測
「2003年Q4の米国オンライン広告収入は過去最高の22億ドル」,IAB調査 
「2003年Q3のオンライン広告市場,リッチ・メディアが引き続き成長」,米ダブルクリックの調査
「欧州のオンライン広告市場,2008年には現在の約2倍にあたる16億6900万ドル規模に」,米社調査
米グーグル,関連性の高い広告を提携サイトにも表示する新たな広告サービスを発表
米Overture,新しい文脈型広告サービス「Content Match」の提供を開始
企業の広告戦略は検索サイトで? 気になる“検索エンジン・マーケティング”
「多数のネット・ユーザは有料広告検索の仕組みを知らない」,米国消費者団体の調査

[発表資料へ]