米国公共テレビ・ネットワークのPBSと技術企業のコンソーシアムが,新たなブロードキャスト・システム「ACE」を開発する。コンソーシアムに参加する米Microsoftが,米国時間2月16日に発表した。

 同コンソーシアムの参加企業にはMicrosoft社のほか,米Accenture,米BroadView Software,米Intel,カナダのMiranda Technologies,米Omneon Video Networks,英OmniBus Systems,米SES AMERICOMが含まれる。PBSはこれら技術企業を招集し,PBSメンバー局が標準コンポーネントとITを利用して反復的な操作を自動化できる手段を模索していた。

 ACEは,PBSのTechnology & Operations部門が設計し,8社による知識とソリューションを用いて構築する。「地方局のテレビ制作におけるコストを大幅に削減し,PBS番組放送の質を高め,管理を簡素化する」(Microsoft社)

 ACEでは,あらゆるテレビ局に向けた基本的な運営サービスを統合し,メンバー局どうしで重複する機能や操作工程を取り除く。メンバー局は少ない投資で,簡単に同システムを導入し,トレーニングやサポートを受け,より効率的で機能豊富なデジタル放送環境に移行することができる。

 ACEの主要コンポーネントには,自動チャンネル操作,マルチレベルの自動システム監視,リモートの問題検出,スケジュールやトラフィックのローカル・ホスティング機能などが含まれる。Omneon社のネットワーク接続したサーバー・インフラ,OmniBus社のネットワーク・ベースの自動ビデオ資産管理,Miranda社のIP対応ビデオ・モニタリング製品,BroadView社のトラフィックおよびスケジュール管理ソフトウエア,SES社の衛星通信サービス,Microsoft社の.NETアーキテクチャおよび「Windows Server」,Intel社のサーバーとデスクトップ用部品,Accenture社の番組管理および統合サービスなどで構成する。

 PBSの最高技術統合責任者であるAndre Mendes氏は「PBSは常に,新たな技術をメンバー局と米国民のために活用することを考えていた」と述べた。「大手技術企業からなるコンソーシアムの優れた技術を組み合わせることにより,簡単に複製および拡張でき,各メンバー局に柔軟に対応できるブロードキャスト・モデルを作成する」(同氏)

 ACEを用いたモデル局のデモは,2004年4月13~17日に開催される「2004 PBS Technology Conference」と,2004年4月19~22日に開催される「NAB2004」で行う。ACEを導入した最初の5局のPBSメンバー局が2004年後半にサービスを開始する予定である。2006年末まで,さらに50~60局が同システムを採用する見込み。

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