米Sun Microsystemsが,ビデオ番組コンテンツを保存/管理するためのデジタル番組リポジトリ・システムを3年かけて15カ所のHBOおよびCinemaxケーブル・テレビ(CATV)ネットワークに提供する計画を,米国時間6月13日に発表した。HBO/Cinemaxネットワークは,米AOL Time Warnerの子会社でCATV事業を手がける米Home Box Office(HBO)が運営するテレビ・サービス。

 Sun社のリポジトリ・システムを導入することで,同ネットワークはテープ/サーバー・ベースの放送プラットフォームを総デジタルのサーバー・アーキテクチャに変更するという。同時に,従来の送出手段に対して99.999%の信頼性確保を目標にするとしている。「同システムにより,ネットワークの運営コストを削減すると同時に,HBO社の全体的な経営効率を向上できるだろう」(Sun社)

 同デジタル番組リポジトリは,完全に冗長化させた記憶容量5Tバイトのストレージを備え,50Tバイトまで拡張することで合計5000時間分のコンテンツを保存できる。ファイバ・チャネル相互接続を使用し,連続300Mバイト/秒以上の速度で,HBO社の送出システムにデータを転送する。リカバリ・モード時には最高900Mバイト/秒の性能を発揮でき,送出帯域幅を減らすことなくコンテンツを送信し,1放送日以内にリポジトリの復元が可能という。

 同システムでは,コンテンツの管理/放送用に2台の「Sun Fire 6800」サーバーを使い,総合的な可用性確保のためミラー化した構成のなかに「Sun StorEdge 9980」を2台導入する。

 テレビ番組程度の長さのビデオからは大きなサイズのファイルが生成されるので,これを保存するのに必要なストレージの拡張性を提供するために,ファイル・システム「Sun StorEdge QFS」を使う。Sun社では,「このファイル・システムは,HBO社の要求するスループット目標を満足できる性能を持ち,従来方式の高価なテープ・バックアップ・アーキテクチャを必要としない」としている。

 またSun社のJava技術を使用することで,クロス・プラットフォームの互換性を確保するとともに,Javaプログラミング言語でビデオ・ネットワーク・システムを開発するというHBO社の戦略にも対応できる。

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