米Intelは,高精細テレビ(HDTV)向けの新しい半導体技術「Cayley」(開発コード名)を,ラスベガスで開催中の2004 International Consumer Electronics Show(CES)で発表した。2004年下半期にリリース予定という。

 Cayleyは,大型の背面投射型テレビで採用されている「LCOS(Liquid Crystal on Silicon)」技術を基盤とする。LCOSは,ガラスとシリコン・ウエハー上に定着させた反射型液晶の間に液晶層をはさみ,“マイクロ・ディスプレイ”と呼ぶ小型のチップセットを形成する技術。

 Intel社によれば,「Cayleyによって,現行のシステムと比べ,より鮮明な画像の大型HDTVを,2000ドル以下で提供できるようになる」(同社)

 Intel社は,LCOSマイクロ・ディスプレイの製造に関して,「ムーアの法則」を維持できる独自のプロセスを開発したという。このため,競合他社よりトランジスタ数を増やすことで解像度を向上し,輝度や画像品質といった,ディスプレイ品質の向上につなげることができるという。

 またLCOSには,マイクロ・ディスプレイの大きさはそのままにして,解像度を向上した多数のマイクロ・ディスプレイを形成できるという特徴がある。このため,Intel社のLCOS技術を基盤としたマイクロ・ディスプレイは,互換性がある一貫したディスプレイ領域を提供することになる。OEMはさまざまな製品に向けた異なる大きさと解像度のスクリーンに,同じ光源エンジンの設計を再利用できるというメリットがあるという。

 なお現在,Intel社のマイクロ・ディスプレイの試作品をもとに,大手OEMやHDTV部品メーカーなどが,製品開発に取り組んでいるという。

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