米Microsoftは米国時間1月26日,無線ICタグ(RFID)のパイロット・プロジェクトについて明らかにした。すでにデンマークの食品メーカーKiMsと協力し,2003年12月下旬に開始している。

 KiMs社は270人の従業員を抱え,年間10万パレットのスナックを出荷している。2003年6月に製造,原材料調達,販売受注管理,在庫管理向けにMicrosoft社製ソフトウエア「Axapta」を導入したが,サプライヤから販売店を通じたサプライ・チェーン管理を強化するため,商品出荷時のパレット監視や流通における場所の把握を行いたいと考えた。

 SAMSys Technologies社が,KiMs社の生産サイクルおよびバーコード・システムの検査を行い,パレット追跡システム「UHF RFID」のハードウエア・インストールを担当した。カートン詰めしたKiMs社の商品はパレットに積載され,各流通センター向けにトラックで輸送される。各パレットにはユニークな識別子を書き込んだRFIDが組み込まれており,保管,積載,出荷の各段階で監視できる。UHF RFIDシステムで読み込んだタグ・データは,直接KiMs社のAxaptaに送られる。

 RFIDはSCMを強化し,業務の効率化と収益性の向上を実現できる技術として,製造業や販売業などから注目を集めている。Microsoft社Business Solutions部門は,同プロジェクトで得た管理データを利用し,「中小企業が在庫フローをより明確に把握できるよう支援する」としている。

 KiMs社とのプロジェクトでは,RFID技術を用いた在庫管理のほか,需要プランニング,イベント管理,取引パートナとのコラボレーションなど,サプライ・チェーン自動化の鍵となる機能の強化についても取り組む。

 Microsoft社Business Solutions部門コーポレート・バイス・プレジデントのSatya Nadella氏は,「現在のビジネス・ソリューションをさらに強化し,SCMにおける課題を克服できることを,このプロジェクトで証明する」と述べた。
 
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