米Microsoftは米国時間1月12日,小売り販売業界の次世代技術導入を支援する取り組み「Smarter Retailing Initiative(SRI)」について明らかにした。ニューヨークで開催中の全米小売業協会(NRF)の展示会で発表したもの。「オープンな標準規格をベースにした技術や枠組みを提供し,小売り企業とその店舗および消費者を結びつける。消費者の販売体験や小売店の対消費者取引規定を根本から変えることになるだろう」(Microsoft社)

 同取り組みは,「Smarter Shopping」「Smarter Selling」「Smarter Operations」の三つを主要な柱とする。主な内容は以下の通り。

・Smarter Shopping:
 小売り店が既存のIT資産を利用して,パーソナル化したシームレスな販売体験を消費者に提供できるようにする。商品およびサービスに関する情報提供の差別化を目的とした,携帯電話やPDAといったデジタル機器の活用などに焦点を当てる。

・Smarter Selling:
 販売拡大と顧客満足度向上を目指し,従業員の作業の効率化を可能にする。商品陳列や在庫情報のほか,CRMのスキルなどを用いて,従業員が消費者の質問やニーズに応えられるようにする。

・Smarter Operations:
 収益性向上に向けた効率的な管理手法を提供する。無線装置や無線ICタグ(RFID)といった技術の実装を簡単に管理するためのツールなどが含まれる。

 SRIでは,WebサービスやXMLなどの技術をはじめ,IX Retail,OPOS,RFID,UCCNetといった小売り販売業界向けの標準規格を採用する。「Windows XP Embedded」(POS端末プラットフォーム向け),「SQL Server」(小売りの分析とレポート向け),「BizTalk Server」(高度な統合向け)などの利用を推進する。

 Microsoft社によると,すでに20社以上が同取り組みへのサポートを表明しており,SRIの構想と「.NET Framework」と組み合わせた製品やサービスの開発および提供を予定している。これらの企業には,米Accenture,BlueCube Software社,フランスのCap Gemini Ernst & Young,CRS Retail Systems社,米Dell,富士通の米国子会社Fujitsu Transaction Solutions,米Hewlett-Packard(HP),米Infosys Technologies,米Intel,JDA Software Group社,米Manhattan Associates,米NCR,NSB Group社,ProClarity社,Retalix社,Sysrepublic社,Trax Retail Solutions社,米Wiproなどが含まれる。

 Accenture社は,消費者がレジを通過するだけで商品購入が行える「Shopping Cart Assistant」や,店舗管理者が在庫情報や従業員のスケジュールに簡単にアクセスするための「Store Manager Workbench」といったツールの開発でMicrosoft社と協力体制を敷く。

 また,米7-Eleven,米Circuit City Stores,米Costco Wholesale,米Meijer,ドイツのMETRO Group,米Rite Aidなどの大手販売業者が,小売り販売および販売店経営に関してMicrosoft社技術の導入を開始しているという。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]