米Akamai Technologies,米The Globus Alliance,米Hewlett-Packard(HP),米IBM,米Sonic Software,米TIBCO Softwareの6社が,グリッド・コンピューティングとWebサービスを統合するための新仕様「WS-Notification」と「WS-Resource Framework」を公開した。IBM社が米国時間1月20日に明らかにしたもの。両仕様を使うことで,Webサービスやグリッドの導入にかかる費用と期間を削減し,組織内外のリソースを連携できるという。

 両仕様について,IBM社は「(Webサービス・ベースのグリッド・コンピューティング向け標準規格である)Open Grid Services Architecture(OGSA)の基盤」と説明する。WS-Resource FrameworkとWS-Notificationを適用すると,Webサービス向け仕様を使ってグリッド用インフラとアプリケーションを構築できる。「その結果,インターネット経由でオンデマンド・コンピューティング・リソースのアクセスと共有が簡単に行えるようになり,柔軟で,自己管理機能を備え,常時利用可能なインフラとして使える」(IBM社)

 WS-NotificationとWS-Resourceは,Webサービスを使って拡張可能なメッセージング・モデルを提供するとともに,ステートフル・リソースをモデル化する。ステートフル・リソースとは,サーバーのような物理的な実体を,業務協定や契約などの論理的な構成概念にモデル化する要素である。こうしたステートフル・リソースにアクセスすると,複数のサプライヤからのジャスト・イン・タイム調達,システム停止の検出/復旧,グリッド・ベースの負荷分散といったメリットが得られるという。

 WS-Notificationを使うと,あらかじめ設定しておいた条件に従って,ITインフラ内で何らかの動作を自動的に起こせる。たとえば,商品の在庫がある一定の数量より少なくなったら,補充するための入札を自動通知する,という動作を実行できる。同仕様の作成は,Akamai社,The Globus Alliance社,HP社,IBM社,ドイツSAP,Sonic Software社,TIBCO社が行った。

 WS-Notificationについて,TIBCO社製品&技術担当副社長のDerek Collison氏は「これまでWebサービス標準は,主にサービスを定義/管理するためのものだったが,WS-Notificationはさらにイベント定義に関する合意事項を指定できる」とする。「イベントは,サービス指向アーキテクチャ(SOA)を実現するものである。そしてイベント定義の標準化により,リアルタイム・ビジネスの導入を加速し,より多くの企業により低コストで利用してもらえる」(同氏)

 一方WS-Resource Frameworkは,The Globus Alliance社,HP社,IBM社が策定した仕様。リソースの定義や操作に関係する以下の要素を含む。

・Modeling Stateful Resources with Web services:
 Webサービスのコンテキスト内にあるリソースをモデル化する際に,どのWebサービス仕様をどのように使うかを規定する

・WS-Resource Properties:
 ステートフル・リソースに関するデータの問い合わせと変更を,Webサービス技術で行う方法を定義する

・WS-Resource Lifetime:
 リソース定義の有効期間を指定する

◎関連記事
米IBMと米Akamai,オンデマンド・コンピューティング向けに「WebSphere Studio」のアドオンを提供
米HP,サービス指向アーキテクチャ企業買収でWebサービス管理ソリューションを強化
「Webサービス・ベースの専門サービス,北米市場は2004年に前年比146%成長」,米IDC
「サービス指向のWebサービス管理ソフトが台頭,今後は主流に」,米IDCの調査より
「2006年にはサービス指向アーキテクチャが最も優勢に」,米企業の調査
「グリッド・コンピューティング市場は商用展開が進み,今後18カ月間に急拡大」,米調査より
「ユーティリティ・コンピューティングに対する顧客の関心は高い」,と米IDC
「Webサービス向けソフトは米MS,IBM,Oracleが優勢」,米データクエストの調査

[発表資料へ]