「過去1年間におけるグリッド分野の買収/合併は10億ドル規模を超えており,今後18カ月間に同市場は急拡大する見通しだ」。米国の調査会社451 Groupはグリッド・コンピューティング市場についての調査結果を米国時間10月1日に発表した。

 同社は今後18カ月間にグリッド技術の商用展開が進み,企業のグリッド・コンピューティングの利用が増えると予測する。また,ユーティリティ・コンピューティングやWebサービスといった既存のサービスや戦略にグリッド技術が統合されるに伴い,ベンダー間の競争も成熟するとみる。

 同社によると現在,グリッド・コンピューティングを積極的に利用している業界は,金融サービス(31%),生命科学(26%),製造(18%)である。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・グリッド技術の発展により,メインフレームのような性能と管理性を分散システムで提供可能な商用製品が今後12カ月間に実現する

・現在,グリッド・コンピューティング市場の成長を後押ししているのは,余分なサーバー容量の活用や,安価なIntelベースのモジュラ型サーバーの購入を通じてコスト削減を図ろうとしているユーザーである

・ベンダーは,グリッドは構築するものであって,購入するものではないと考えている。このため,すでにコンピュータ資源を有するベンダーは,コンサルティングといった専門サービスを通じて収益を得る大きなチャンスを手にしている。一方,資源を持たないベンダーは他社との提携が必要になる

・長期的にみた場合,グリッド・コンピューティングは価格やサービス提供といった点においてユーティリティ・コンピューティングの特色が強まる。またWebサービスや仮想化技術の利用により,ネットワーク化された複数のコンピュータを1台のコンピュータとして管理できるようになる。

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