米Standard & Poor'sは,番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)の影響による消費者の動向についての調査結果を米国時間12月11日,発表した。LNPは,携帯電話間および固定電話と携帯電話の間で,事業者を変更しても同一番号を保持できるというもので,11月24日に米国で施行された。調査によると,従来の固定電話回線から携帯電話のみに切り替える家庭が増えており,この傾向は2004年にさらに強まるという。

 調査は,Standard & Poor's社の依頼により米InsightExpressが2003年11月の最終週にアンケートを実施したもの。

 有線通信業者は,これまでも回線卸売り業者やケーブル事業者と競争を繰り広げてきたが,LNP施行によって,新たな脅威が生じた。現在固定電話を使用しているユーザーの約10%が「電話番号を維持できるようになったので,携帯電話に移行するつもり」と回答した。この数字は,LNP施行より前に,固定電話から携帯電話に切り替えたユーザーの割合の2倍以上である。

 Standard & Poor's社のTodd Rosenbluth氏は「過去2年にわたり,携帯電話への顧客流出は有線通信業者にとって頭痛のタネだったが,2004年は固定電話回線の解約がいっそう進む」と予測する。また同社は,「従来サービスとデータ・サービスのバンドルにより,顧客の忠誠心を獲得できるとする考えは疑わしい」と指摘している。「消費者は価格と利便性を追求しており,1社の事業者に固執することはなくなるだろう」(Rosenbluth氏)

 なお,LNP施行が,携帯電話間のプロバイダ変更に大きな影響を与えている様子はないという。現在の契約期限が来る前に,プロバイダを変更するつもりの携帯電話ユーザーはわずか4%だった。契約期限が来たら変更するというユーザーは16%。通常,プロバイダを変更する携帯電話ユーザーの割合は年間で25%なので,ほぼこれまで通りの状況といえる。

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