米DisplaySearchは米国時間10月29日,2003年第2四半期における10インチ以上の液晶ディスプレイ(LCD)TV市場に関する調査結果を発表した。それによると,LCD TVの出荷台数は71万5000台で,前期比17%増,前年同期比162%増となった。

 TVチューナ内蔵型の多機能モニター(MFM TV)を含めると,出荷台数合計は83万1000台となる。前期と比べ29%成長し,MFM TVが市場で占める割合は14%に達した。

 第3四半期は,既存メーカーによる新製品の投入や,新たなメーカーの市場参入により,LCD TVとMFM TVのいずれも成長のペースを早める見通しだ。LCD TVは前期比46%増,MFM TVは同34%増となり,両製品を合わせた出荷台数合計は同45%増の120万台になるとみる。

 地域別でみると,日本が第1四半期の低迷から回復し,前期比24%増でLCD TV/MFM TV市場をけん引した。また,市場シェアを前期の36.7%から38.5%へと拡大した。北米は,第1四半期が非常に好調だった反動で,当期の成長率は最も低い前期比9%増となった。市場シェアも31%から29%へと縮小した。

 サイズ別でみると,15インチ型XGA(1024×768)が,20インチ型VGA(640×480)を抜いて最も人気の高い製品となった。15インチ型XGAは北米,欧州,残りの地域(ROW:Rest of the World)で人気が高かったものの,日本市場では20インチ型VGAの人気が最も高かった。日本市場では大型モニターの嗜好が強まっており,第3四半期は同市場の平均的なLCD TVのサイズが,北米や欧州と比べ2インチ,ROWと比べ1インチ以上大きくなる見通。

 解像度別にみると,VGAがリードしているものの,XGAとWXGA (1280×800)に足場を奪われ,市場シェアは前期の51%から37%へと縮小した。第3四半期は,WXGAを採用する大型モニターの普及が加速し,VGAを抜く見通しだ。

 LCD TV/MFM TV市場をメーカー別にみると,シャープがシェア31%を獲得して,9期連続首位を堅持。2位は韓国のSamsungでシェア13.3%。3位はソニーの10.5%だった。

 ちなみに,シャープは日本以外の市場では不振だったため,シェアを前期の45.5%から大幅に落としている。Samsung社はMFM TV市場ではシェア29%で1位につけた。またソニーは,MFM TVを製造していないため3位となったが,LCD TVの出荷台数は前期比で91%も成長した。

 DisplaySearch社は,今後5年間のLCD TV/MFM TV市場を次のように予測している。同市場は年平均96%で成長し,5年後の出荷台数は3900万台に成長。また,テレビ市場全体で占める割合も,2003年の3%から5年後には21%になるとみる。MFM TVを除いた場合の年平均成長率は92%。5年後の出荷台数は3600万台,テレビ市場全体で占める割合は19%。

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