米DisplaySearchは,2003年第1四半期における10インチ以上の大型TFT液晶ディスプレイ(LCD)市場に関する調査結果を米国時間6月18日に発表した。出荷台数は過去最高の2000万台で,前期比7%増,前年同期比40%増。これは,前期比4%増という事前の予測値を55万6000台分上回った。出荷台数が予測を超えた影響で,売上高は前期比5%増,前年同期比4%増の42億ドルとなった。DisplaySearch社は,前期比2%増と予測していた。また大型LCDの平均画面サイズは15.34インチで,前期比1%増だった。

 予測を上回った理由について,同社は,「モニター・メーカーがより低価格のパネルに投資した影響で,モニター用LCDモジュールの出荷台数が予測の2倍近くまで増えた」ことを挙げている。「予想以上の成長により,大型LCDの余剰量は約5%のままで推移し,価格上昇を引き起こした」(同社)

■大型TFT液晶ディスプレイの画面面積ベースの出荷量/伸び率/市場シェア(OEMベース)
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メーカー名        画面の面積に       伸び率      画面の面積に
                  よる出荷量                     よる市場シェア
                 (平方m/月)
                2002年   2003年               2002年      2003年
                   Q4       Q1                   Q4          Q1
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LG.Philips LCD  89,219   100,476       13%    19.7%      20.3%
Samsung         78,132    85,385        9%    17.3%      17.2%
AU Optronics    55,325    60,787       10%    12.2%      12.3%
CMO/IDTech      49,426    57,512       16%    10.9%      11.6%
シャープ        36,664    37,241        2%     8.1%       7.5%
CPT             30,855    32,523        5%     6.8%       6.6%
HannStar        22,534    26,567       18%     5.0%       5.4%
日立            19,570    21,570       10%     4.3%       4.4%
BOE-Hydis       17,870    19,882       11%     3.9%       4.0%
Quanta          15,621    17,262       11%     3.4%       3.5%
その他          37,634    36,589       -3%     8.3%       7.4%
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合計           452,848   495,794        9%   100.0%     100.0%
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出典:DisplaySearch社

 画面サイズ別でみると,市場を15インチ型が最大シェア(47%)を占め,17インチ型(19%)と14.xインチ型(16%)がそれに続く。17インチ型は第1四半期に初めて14インチ型を上回り,2003年第3四半期には全体の25%に達すると予測する。一方15インチ型以上のLCDの占める割合は,前期の72%から76%に拡大し,2003年第3四半期には80%まで増えるとみる。

 地域別にみると,韓国メーカーが出荷台数の40%,売上高の42%を占めた。同地域の2003年第3四半期におけるシェアは,工場への投資タイミングが適切であったことから,出荷台数と売上高とも47%に拡大する。

 そのほかの今後の状況について,DisplaySearch社は以下のように予測する。

【2003年第2四半期】
・出荷台数は前期比13%増,前年同期比29%増で,記録更新を続ける。

・需要が高いことに加え,供給量の増加が予想を下回ることから,余剰量はさらに少なくなり,大型LCDの加重平均価格は第1四半期の210ドルに比べ8%増の226ドルになる。

・売上高は前期比22%増,前年同期比2%増の51億3000万ドルで,過去最高額となる。ほとんどのTFT LCDメーカーが採算性を確保できる状態に戻る。

【2003年第3四半期】
・LCDモニタ・モジュールの勢いが鈍化するが,LCDテレビ・モジュールが大きく伸びることから,大型LCD全体の出荷台数は9%増加する。

・余剰量は増えるものの5%未満の状態が続き,加重平均価格が3%上昇する。

・売上高は前期比12%増,前年同期比31%増の57億5000万ドルの見込み。

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