米Gartnerは,2003年第3四半期の世界パソコン市場に関する調査結果を米国時間10月15日,発表した。それによると第3四半期の出荷台数は,一般消費者によるノート・パソコンの需要が急増し,前年同期比14.1%増の4250万台に達したという。同市場は第2四半期より回復基調に入っており,2四半期連続の2ケタ成長となった。
Gartner社Computing Platforms Worldwide部門担当のCharles Smulders氏は,「価格の低下,性能の強化,ワイヤレス製品の認知度向上などが,とりわけ一般消費者をノート・パソコンに引きつけた」と説明した。
しかし短期的にみると,このノート・パソコンの需要増大が,自らの成長の足かせになる可能性があるという。同氏は,その理由を次のように説明する。「液晶パネルの価格低下により,ノート・パソコンはもちろん,液晶モニターや液晶テレビの需要も伸びている。さらにモバイル向けハード・ディスク装置の供給も逼迫している。これらの部材不足が,ノート・パソコンの価格上昇を招き,需要に悪影響を及ぼす可能性がある」(同氏)
世界市場をベンダー別にみると,米Dellが出荷台数ベースの市場シェアで15.3%を獲得して首位に立った。2位の米Hewlett-Packard(HP)は,前年同期より出荷台数を伸ばし,Dell社との差を縮めている。
■2003年第3四半期における世界パソコン市場のベンダー別出荷台数(速報値) (単位:1000台) ---------------------------------------------------------------------- 2003年Q3 2002年Q3 市場 市場 シェア シェア 成長率 ベンダー名 出荷台数 (%) 出荷台数 (%) (%) ---------------------------------------------------------------------- Dell 6,507.0 15.3 5,070.1 13.6 28.3 Hewlett-Packard 6,445.1 15.1 5,047.9 13.5 27.7 IBM 2,267.3 5.3 1,946.8 5.2 16.5 富士通/Fujitsu Siemens 1,558.7 3.7 1,304.4 3.5 19.5 東芝 1,322.7 3.1 1,143.1 3.1 15.7 その他 24,446.6 57.5 22,783.8 61.1 7.3 合計 42,547.5 100.0 37,296.1 100.0 14.1 ----------------------------------------------------------------------注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,IA32サーバーを含む。HP社の数字は米Compaq Computerのデータを,Fujitsu Siemens社の数字は富士通のデータを含む。
出典:Gartner社のDataquest(2003年10月)
地域別にみると,中南米を除くすべての地域が2ケタ台の伸び率をみせた。欧州/中東/アフリカ(EMEA)では,米ドルに対する有利な為替レートとベンダーによる値下げが,需要喚起に貢献した。また,日本では長引く不景気から回復に向かい始めている。中南米は2ケタ成長には及ばなかったものの,ノート・パソコンの需要活性化とブラジルにおける経済状況の好転により,成長の兆しをみせている。
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