米Gartnerが米国時間7月16日に,2003年第2四半期の世界パソコン市場に関する調査結果の速報を発表した。それによると,世界のパソコン出荷台数は3280万台で,前年同期と比べ10%増えた。出荷台数が2ケタ増となったのは,2000年第3四半期以来3年ぶりという。
Gartner社コンピューティング・プラットフォーム・ワールドワイド部門バイス・プレジデントのCharles Smulders氏は,「パソコン業界の業績が予測を上回ったことから,市場状況の回復を感じる」と述べた。「しかしこのまま回復が続くかどうかは,経済の状態と,企業によるパソコン買い替えのタイミングが大きく影響する。先ごろ当社が実施した調査によると,米国企業の予算はいまだ厳しい」(同氏)
出荷台数によるメーカー順位は,米Dell Computerが1位になった。同社の出荷台数は前年同期比29.5%増加し,伸び率でもトップである。米Hewlett-Packard(HP),米IBM,富士通の3社は,市場全体よりも高い伸び率を記録した。Gartner社アナリストは,「IBM社の出荷台数増加は,企業の状況が上向いていることの現われ」と指摘する。
■表1 2003年第2四半期における世界パソコン市場のメーカー別出荷台数速報(単位:1000台) 2003年Q2 市場 2002年Q2 市場 伸び率 メーカー 出荷 シェア 出荷 シェア (%) 台数 (%) 台数 (%) ---------------------------------------------------------------------- Dell 5,770.7 17.6 4,457.8 14.9 29.5 HP 5,290.8 16.1 4,717.9 15.8 12.1 IBM 2,185.4 6.7 1,926.9 6.5 13.4 富士通 1,303.4 4.0 1,176.4 3.9 10.8 NEC 1,006.3 3.1 1,034.1 3.5 -2.7 その他 17,263.4 52.6 16,516.9 55.4 4.5 合計 32,820.1 100.0 29,830.0 100.0 10.0 ---------------------------------------------------------------------- 注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,IA32サーバーを含む。 HP社の数字には米Compaq Computerのデータが, 富士通の数字にはFujitsu Siemens社のデータが含まれる。 出典:Gartner社のDataquest(2003年7月)
2003年第2四半期における米国市場の出荷台数は1180万台で,前年同期に比べ11.1%増。Gartner社では,「消費者および教育分野で需要が伸びたため」とみる。またSmulders氏は,「家庭向け分野をけん引したのは,値下げ競争とノート・パソコンだ。小売市場では今後もノート・パソコンの人気が続く」と述べた。
米国市場でもDell社が出荷台数で引き続き1位を獲得した。同社の出荷台数ベースの市場シェアは31.1%で,2位~4位の合計シェア32.8%にもう少しで届くほどだった。2位のHP社は家庭向け分野の販売が好調で,出荷台数が前年同期に比べ14.1%増えた。
■表2 2003年第2四半期における米国パソコン市場のメーカー別出荷台数速報(単位:1000台) 2003年Q2 市場 2002年Q2 市場 伸び率 メーカー 出荷 シェア 出荷 シェア (%) 台数 (%) 台数 (%) ---------------------------------------------------------------------- Dell 3,688.7 31.1 2,924.8 27.4 26.1 HP 2,256.8 19.0 1,977.6 18.5 14.1 IBM 688.0 5.8 661.7 6.2 4.0 Gateway 493.0 4.2 651.0 6.1 -24.3 Apple 447.0 3.8 455.0 4.3 -1.8 その他 4,273.9 36.1 3,994.0 37.5 7.0 合計 11,847.4 100.0 10,664.1 100.0 11.1 ---------------------------------------------------------------------- 注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,IA32サーバーを含む。 HP社の数字にはCompaq社のデータが含まれる。 出典:Gartner社のDataquest(2003年7月)
地域別にみた場合,すべての地域で出荷台数が増加し,欧州/中東/アフリカ(EMEA)および中南米では予測を上回った。アジア太平洋地域は予測値に達しなかったが,「SARSによる中国経済活動の打撃が大きい」(Gartner社)という。
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