米Palmは,個人向けPDA「Zire 21」と企業向けPDA「Tungsten T3」「Tungsten E」の3製品を米国時間10月1日に発表した。Zire 21は米国での予想小売価格を99ドルと据え置きながら,従来機からソフトウエアを追加,プロセサを高速化,メモリー容量を4倍増量した製品。Tungsten T3は同社製PDAとしては初めて高解像度カラー画面を採用し,横長表示にも対応する。価格は399ドル。Tungsten Eは199ドルという価格で,Tungsten製品系列の廉価版という位置付け。いずれの製品も,オンライン・ストアや世界各地の小売店などで販売を始めている。

 Zire製品系列PDAの累積販売台数は100万台を超えており(関連記事),「当社でこれまで最も販売の伸びが速かった製品」(Palm社Solutions Group製品管理担当副社長のDavid Christopher氏)。「価格と使いやすさはそのままで,従来機に対しZire 21はより多くのデータとアプリケーションを利用できるようメモリー容量を増やし,高速化した。初めてのPDAやプレゼントとして,売れ行きが期待できる」(同氏)

 Zire 21の特徴は以下の通り。

・メモリー:
 従来機の4倍に相当する8Mバイト(ユーザー領域は7.2Mバイト)のRAMを内蔵。数年間分の予定や数1000件の連絡先を保存できるほか,さまざまなアプリケーションを格納する余裕がある。

・プロセサ:
 動作周波数126MHzの米Texas Instruments(TI)製OMAPプロセサを採用し,従来機からの高速化を図った。

・ソフトウエア:
 OSは最新版のPalm OS 5.2.1。PIMアプリケーションも最新版を搭載。さらにインストールCD-ROMでさまざまなアプリケーションを提供する。

 一方Tungsten T3とTungsten Eは企業ユーザー向けのPDA。両製品の特徴は以下の通り。

【Tungsten T3】
・画面:
 320×480ピクセルの透過反射型TFTカラー液晶ディスプレイを搭載。従来機に比べ表示面積が50%以上広がった。カバーをスライドすると全体を表示できる。表示は横長モードのほかに従来機と同じ縦長モードにも対応しており,画面をタップするだけで切り替えられる。文字入力用の専用領域はなく,画面上に仮想的な入力領域を設けるGraffiti 2を採用した。

・メモリー:
 64Mバイト(ユーザー領域は52Mバイト)のRAMを内蔵。

・プロセサ:
 動作周波数400MHzの米Intel製XScaleプロセサを採用。

・Bluetooth:
 Bluetooth機能を内蔵し,無線通信が可能となった。

【Tungsten E】
・画面:
 320×320ピクセルの透過反射型TFTカラー液晶ディスプレイを搭載。6万5000色以上の表示が可能という。

・メモリー:
 32Mバイト(ユーザー領域は28.3Mバイト)のRAMを内蔵。

・プロセサ:
 TI社のOMAP 311 ARMを採用。

 また同社は,Tungsten製品系列に最適化したJava仮想マシン(JVM)について,米IBMからライセンス供給を受けている。

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[発表資料(Zire 21)]
[発表資料(Tungsten T3/Tungsten E)]