米パームが「Palm」のサブブランドを発表，企業向け「Tungsten」と個人向け「Zire」

早坂利之

2002.09.24

　米Palmが米国時間9月23日に，同社のPDA「Palm」のサブブランド「Tungsten」と「Zire」を明らかにした。Tungstenは企業ユーザー向け，Zireは個人ユーザー向けとする。

　Palm社傘下のPalm Solutions Group社長兼CEOのTodd Bradley氏は，「学生や郊外に住む母親がハンドヘルド機に望むことは，ITマネージャや外回りの従業員が要求することとは根本的に異なる。我が社は両方のニーズに応えることに真剣に取り組んでいる。それがZireとTungstenだ」と説明した。

　Palm Tungsten製品ファミリには，モバイル・プロフェッショナル向けのハンドヘルド・ハードウエアおよびソフトウエアが含まれる。最新の無線およびモバイル技術を用いて複雑な技術問題を解決し，ITマネージャがモバイル・ワーカーに安全なデータ配信を行えるようにする。一方Palm Zire製品ファミリでは，プライベートや仕事，あるいは学業生活で利用できる手軽で使いやすい個人向け製品を提供する。

　Palm Tungstenと同Zireの第1弾製品は今秋リリースする予定である。「Palm OS」を搭載し，従来のPalm製品が備える機能に新たなデザインを施すという。

　ちなみにPalm社によると，2002年における消費者向けPalm OS搭載ハンドヘルド機の販売台数は500万台近くにのぼる見通しだという。

　またPalm社は，企業向け無線ソリューション「Tungsten Mobile Information Management（MIM）Solution」を同日発表した。会社員がPalm機から，企業の電子メールやカレンダ，住所録，メモ，to-doリストへ安全に無線接続できるようにする。IMAP4準拠の電子メールもサポートする。

　Tungsten MIM SolutionはPalm社が今年1月に「Palm i705 Wireless Messaging Solution」として発表したソリューションで，802.11bなどの無線LANサポートを追加した。

　Tungsten MIM Solutionは以下の製品とサービスで構成する。

・無線対応ハンドヘルド機「Palm i705」または「Xircom Wireless LAN Module」を装着した「Palm m500」
・サーバー用ソフトウエア「Mobile Information Management Server」
・無線アカウント管理ツール「Enterprise Services Portal」
・保守およびサポート

　Tungsten MIM Solutionの価格は2499ドル。2002年10月28日より一般向けに利用可能にする。サーバー用ソフトウエアは25クライアントに対応。「Windows NT」と「同2000」で動作する。「Solaris」対応版も近日中にリリースする。

　さらにPalm社は同日，2003会計年度第1四半期（2002年6月～8月期）の決算を発表した。売上高は1億7230万ドルで前年同期の2億1430万ドルと比べて20％減少。一時的な費用を除いた純損失は3640万ドル（1株当たり損失は6セント）で，前年同期の3870万ドル（同7セント）から若干回復した。しかしGAAPベースの純損失は2億5870万ドル（同45セント）となる。