米Palmと米Handspringの両取締役会は,Palm社がHandspring社を買収することについて全員一致で最終合意した。両社が米国時間6月4日に明らかにしたもの。Palm社の取締役会は,Palm OS事業を手がける同社傘下の米PalmSourceの完全独立についても最終承認を行った。

 Palm社は,Jeff Hawkins氏とDonna Dubinsky氏が1992年に設立したPDAメーカー。同社は1995年に米U.S. Roboticsに買収され,そのU.S. Robotics社を米3Comが1997年に吸収した。Hawkins氏とDubinsky氏は1998年に3Com社を離れ,Palmプラットフォーム対応PDA「Visor」を開発するHandspring社を設立。なお2000年には3Com社からPalm部門が米Palm Computingとして再び独立し,その後社名をPalm社に変更して現在に至る。現在同社は,PDA本体の開発などを手がけるPalm Solutions Group部門と,Palm OSの開発/ライセンシングなどを担当するPalmSource社に分かれ,PalmSource社の完全独立に向け準備を進めている。

 今回の合意によりPalm社とHandspring社は,PalmSource社の独立完了後に買収処理を開始する。Handspring社の株主は,Handspring社の普通株式1株当たり0.09株のPalm社株式を受け取る。この際PalmSource社の株式は受け取れない。これによりPalm社は,約1390万株(完全希薄化ベース)の普通株式を発行する。買収処理の結果,Handspring社の株主は新会社の約32.2%の株式(完全希薄化ベース)を保有することになる。Handspring社の買収手続きは,2003年秋には完了すると見込む。また新会社は,2003年後半に社名変更を予定している。

 合併する両社は,「製品売上の機会が大きく拡大すると同時に,年間約2500万ドルの経費削減が可能」と説明する。この経費削減は,約125人の人員削減,重複する業務の廃止,不要な不動産の処分,製造/配送能力向上などで得られるという。

 新会社の社長兼CEOには,Palm Solutions Group社の社長兼CEOを務めるTodd Bradley氏がそのまま就任する。ハンドヘルド・コンピューティング・ソリューションズ部門はPalm Solutions社販売/マーケティング担当上級副社長のKen Wirt氏が,スマートフォン・ソリューションズ部門はHandspring社社長兼COO(最高業務執行責任者)のEd Colligan氏がそれぞれ担当する。またHandspring社会長兼CPO(最高製品責任者)のJeff Hawkins氏は,新会社のCTO(最高技術責任者)となる。

 「Handspring社とPalm Solutions Groupが合併するという戦略的な選択は,幅広い製品群と,PDA業界で最も経験豊富な“チーム”を生み出す。このチームには,顧客,パートナ,株主に喜んでもらえる能力がある」(Palm社会長兼CEOでPalmSource社会長のEric Benhamou氏)

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