ワシントンDCの米連邦高等裁判所は,米Palmが米Xeroxの特許を侵害したとするニューヨーク州ロチェスター米連邦裁判所の決断を支持する判決を下した。しかし,問題の特許の効力に関して綿密に調査するよう,当訴訟を地裁に差し戻した。この判決について,Palm社が米国時間2月21日にコメントを発表した。

 この訴訟は1997年4月にXerox社が,後に米3Comに買収される米U.S. Roboticsを提訴したことに端を発している。Xerox社は,Palm OS搭載機に使われている手書き文字認識技術がXerox社の特許を侵害していると主張していた。2001年12月にニューヨーク州ロチェスターの地裁がXerox社の主張を認める判決を下し,Palm社が控訴していた。

 問題となっている特許のタイトルは,「Unistrokes for computerized interpretation of handwriting」。米国特許番号は「5,596,656」。申請日は1995年10月26日で,1997年1月21日に成立。16のクレームから成る。

 今回高裁が地裁の判決を認めながらも,訴訟を差し戻したことについてPalm社は,「特許侵害という判決が,特許の広範な解釈をもとにした判断であることを示している。つまり,効力について問題があるという意味を含んでいる」と述べた。

 「高裁が特許の効力に関して略式裁判の判決を覆したことを嬉しく思う。問題となっている特許の基本的効力に対する当社の反論の説得力を認める裁定だ」(Palm社会長兼CEOのEric Benhamou氏)

 一方Xerox社は弁護士のBarry Kesselman氏は,「Xerox社のUnistrokes特許は,米国特許庁から3度もその効力を承認されている。地裁への差し戻しは,“当然の結果”に至る時間を遅らせるだけのことだ。最終的に,Palm社は特許侵害の責任を負うことになる」と述べた。

 またXerox社は,同社の特許を侵害しているPalm社製品の販売停止を求めている。

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[Palm社の発表資料]
[Xerox社の発表資料]