全米レコード協会(RIAA)がファイル交換サービスのユーザーを相手取って261件の訴訟を起こしたことについて,米Verizon Communicationsが非難のコメントを米国時間9月9日に発表した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,RIAAは9月8日,ファイル交換サービスを利用していたとされる人物を対象に261件の訴訟を起こし,「最終的にはさらに数千件におよぶ提訴も考えている」(RIAA)ことを示唆した。なおRIAAによれば,既に少数の被告が3000ドル程度を支払うことで和解に合意しているという。

 Verizon社執行バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャのWilliam P. Barr氏はこれに対し,「インターネット・ユーザーをターゲットにしたRIAAの過激な召喚手続きは,プライバシ保護に大規模な二次被害をもたらす。著作権保護の立場からみても長期的な利益はほとんどない」と述べた。

 同氏は,RIAAの手法が,著作権所有者あるいはその代理人が裁判所の判断を待たずに,あらゆるインターネット・ユーザーの氏名,住所,電話番号を入手する権利を持つことを意味すると指摘。ファイル交換サービスの問題と解決法を検討する上院委員会で,「著作権所有者とインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)の要求を満たしつつ,インターネット・ユーザーのプライバシを確保するプロセスを早急に構築すべきだ」(Barr氏)と議員らに訴えた。

 ちなみに,Verizon社が提供したファイル交換サービスを巡り,RIAAが起こした訴訟では,「米デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)に従い,Verizon社はユーザー情報を提示する義務がある」とのRIAAの主張を認める判決が,2003年1月に言い渡されている。

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