「映画会社,製作者,音楽ビデオ製作,配信会社,ビデオ・コンテンツのプロバイダは,米国において年間推定10億ドルの売り上げを逃す可能性がある」。コンテンツ保護技術の米Macrovisionが,調査の結果を米国時間8月20日に発表した。

 同調査は,Macrovision社がスポンサとなって米国の3066人を対象に実施したもの。売り上げの損失額は,ホーム・ビデオ業界の年間売上高206億ドルのおよそ5%に該当する。

 同社は,DVDとビデオカセットで提供される映画,音楽ビデオといったビデオ・コンテンツのおよそ75%に複製防止技術が施されていると推定する。DVDからVHSへの複製防止に加え,インターネットによるファイル共有を防ぐために,DVDからDVD-R,DVR,ホーム・メディア・センター/PCのハード・ドライブへの複製も防止される。ビデオ・コンテンツのプロバイダが,複製防止機能を採用していないビデオ・タイトルは不正コピーされる可能性が高くなっているという。

 調査の結果によれば,25%を越える回答者が過去12カ月内にビデオ・コンテンツの複製を試みたことを認めている。これら回答者は,主に複製保護技術を採用していないタイトルのコピーを試みている。もし,複製していなければ,レンタル(50%),または購入していた(30%)と答えている。

 「近々,DVDからDVDへの複製機能を持つ製品の価格が低下して店頭に並ぶようになる。加えて,DVD搭載のビデオ・デッキ,その他の高品質ビデオ,コンピューティング技術が普及しているため,ビデオ・コンテンツを提供する企業は,消費者間において高まる不正コピーの行為に対処するために,引き続き複製保護に投資している」(同社Entertainment Technologies Group上級副社長のCarol Flaherty氏)。

 同調査によれば,回答者の半数以上が音楽CDを複製した経験があり,可能ならばDVDも複製すると40%以上が答えている。

 「ビデオの著作権所有者は,デジタル海賊版の作成行為によって多大な損害を被った音楽業界の二の舞を踏まないように懸命になっている」(同氏)

 同氏によれば,複製防止技術に加え,開発中のデジタル著作権の管理技術がこれを支援するという。同技術により,消費者は,著作権所有者の許可がある場合,一定数の複製を作成することができるようになる。

 ちなみに,西欧の複製による売り上げ損失額は年間7億7900万~12億5000万ドルと推定される。同地域におけるビデオ・デッキの普及率は米国よりもおよそ20%高く,DVDの普及率は20~25%低い。欧州の調査結果は米国の結果に似通っているが,複製の傾向は欧州の消費者の方が多少高くなっている。

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