米国時間8月14日に米国北東部とカナダで発生した広域停電では,携帯電話が使えず大勢の人々が公衆電話に殺到した。米メディア(CNET.com)の報道によれば,携帯電話が使用不能に陥ったのは,携帯電話のトラフィックを処理するトランスミッタ・ステーションへの電力供給が失われたためだ。ほとんどのトランスミッタ・ステーションで確保している予備電力は3~6時間分だという。また,停電の際に利用可能だった携帯電話サービスは米Verizon傘下のVerizon Wireless社のサービスだけだったとしている。

 なおVerizon社は8月15日,停電の間のサービス状況について明らかにした。同社によると,停電が発生した直後に同社中継センターはディーゼルの予備電力に切り替え,サービスを継続した。

 Verizon社の市内および長距離通話サービスでは,ニューヨーク州,ニュージャージー州,ミシガン州,オハイオ州,ペンシルバニア州の中央交換台で停電地域への通話サービスを提供し,家庭,会社,公衆電話から緊急電話番号911への通話を確保した。またVerizon Wireless社によると,8月14日の携帯電話サービスのトラフィックは通常の4倍以上に激増した。「何度か電話かけ直す必要はあったものの,継続してサービスを提供できた」(Verizon社)。なお,8月15日午前の時点で,ニューヨークシティ,デトロイト,クリーブランドの一部の区域を除いて,通常のサービス状況に復旧しているという。

 カナダのBell Canadaも,8月15日にデータと音声ネットワークのサービスを維持したと報告している。しかし8月15日午後6時現在,ネットワークが不通に陥るおそれがあるため,現状の情報取得や修理依頼といった緊急以外の用件の通話は控えるよう警告している。

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[発表資料(Verizon社のプレス・リリース1)]
[発表資料(Verizon社のプレス・リリース2)]
[発表資料(Verizon社のプレス・リリース3)]
[発表資料(Bell Canada社のプレス・リリース)]