米Microsoftは米国時間7月29日に,アプリケーション開発プラットフォーム「Visual Studio .NET」および「Microsoft .NET Framework」の将来版について概要を明らかにした。
2004年後半リリース予定のVisual Studio .NET/.NET Framework(開発コード名はWhidbey)は,.NET用のアドオン・パッケージ「Web Services Enhancements(WSE)」を介して最新のWebサービス仕様に対応するという。またデバッグ機能や開発機能の強化を図る。
現在.NET Framework 1.1を使用しているユーザーは直ちに64ビット・プロセサの利用が可能となるので,「セキュリティや管理性を向上でき,ソース・コードをまったく変更せず性能と拡張性を高められる」(Microsoft社)
ASP.NETを使ったWebアプリケーション開発作業もデータ・アクセスや表示の新しい制御手段により改善でき,最大70%のコード削減が可能という。「要求の厳しいWebサイトでも大きな性能向上が期待でき,より堅牢で安全なWebサービスを提供できる」(同社)
Whidbeyを使うと.NET Compact Frameworkの開発対象を拡大でき,Smartphone,Windows CE .NET 4.2やPocket PCの最新版に対応する機器で動くモバイル・アプリケーションを作成できるようになる。
Whidbey版のVisual Studio .NETと.NET Frameworkは,データベース・サーバー・ソフトウエア「Microsoft SQL Server」の次版(開発コード名はYukon)と連携させる計画という。またWindows OSの次版(開発コード名はLonghorn)は,2005年リリース予定のVisual Studio .NET(開発コード名はOrcas)と組み合わせての利用を想定している。
同社は開発ツールのロード・マップを,Webサイトに掲載している。
またMicrosoft社は同日,.NET開発者を支援するための取り組み「Microsoft Visual Studio Industry Partner(VSIP)」を発表した。これまで「Visual Studio .NET Integration Program」という名称で提供していたサービスを拡充したもので,Visual Studio .NET統合開発環境(IDE)で使用可能なプログラミング言語,コンポーネント・ソフトウエア,エンタプライズ・ツールなどを紹介する。
VSIPの会員は「VSIP Software Development Kit(SDK)」を無料で入手し,新しいプロジェクト・システム,インタフェース・デザイン,コード用エディタ,高機能なデバッガなどを利用できる。
会員種別は「Affiliate」「Alliance」「Premier」の3種類。なおVisual Studio .NET Integration Programの現行会員はPremierに,.NET Component Builder Programの現行会員はAllianceに自動的に移行する。VSIPの詳細については,Webサイトを参照のこと。
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