米サンフランシスコで11日から始まる開発者向け会議「VSLive! 2003 developer conference」の会場で,MicrosoftはVisual Studio .NETについて2つ先のバージョンまでデモする。具体的にはWindows Server 2003と同じ4月24日にリリースされるVisual Studio .NET 2003(開発コード名Everett)と,開発コード名Yukonで知られる次期SQL Serverに合わせて登場するWhidbey(開発コード名)である。このほか同社は,2004年末か2005年初めに出荷するLonghornに合わせてVisual Studioを提供する計画を持っている。

 「Visual Studio .NET 2003はこれまでの顧客を安心させるためのものだ。フィードバックを聞いて改良を施しているが,大幅に変更はしていない。Yukonに合わせて登場するVisual Studioこそが,大幅に強化した本当の意味での次期リリースだ」とMicrosoftで開発部門のリード・プロダクト・マネージャであるDan Hayは語った。

 Yukonと呼ばれる次期SQL Serverには,Microsoftにとって新しい技術や製品,サービスが数多く入ってくる。この重要なプラットフォームに合わせた次世代の開発ツールを出すのがMicrosoftとしては当然だ。Yukonのコア・データベースは.NETのランタイム環境を標準装備しておりプログラミングの面でも改良されている。例えば,ストアード・プロシージャの開発や,ユーザー定義型のデータ作成にVisual Basic .NETやVisual C# .NETのような.NET向けの開発言語が使えるようになる。

 しかも,Yukonは単なるデータベース・エンジンにはとどまらない。MicrosoftはBill Gatesが10年前に約束した「information at your fingertips」の環境を実現するための努力を少しずつ進めており,Yukonはこのコンセプトを具現化するための基盤技術に位置付けられている。まず,YukonはLonghornに統合されてWindows Future Storage(WinFS)と呼ぶ新しいファイル・システムとして使われる。SQL ServerチームのTom Rizzoは,「人々が必要な情報を必要なときにいつでも手に入れられるように,データを抽象化するという考えを常に持っている。Windowsはデータを使うための方法である。だから,私たちはより簡単にリッチな情報を探せるようにすべきだと考えている。データがユーザーを探すようになるべきだ」と語っている。次に,Microsoftは新しいファイル・システムを使うことでYukonの技術を様々な製品で活用しようとしている。具体的にはActive DirectoryやExchange Server 2003の後継製品のような,いろいろなデータを格納するタイプの製品が対象だ。

 Yukonのメリットを活用するには,来年のVisual Studioで大幅な強化を予定している例えばモバイル環境向けのアプリケーション開発機能などを使って,アプリケーションのWebサービスやデータの取得方法を開発しなければならない。また,MicrosoftはOfficeのマクロやスクリプトの開発環境を改善したOffice 11向けのVisual Studio .NET 2003も出荷する計画である。