月刊誌「CIO Magazine」を発行する米CIO.comは,企業のIT支出に関する調査結果を米国時間7月1日,発表した。それによると,2003年6月時点で,企業のCIOは今後1年間のIT支出を平均5.6%増加する予定だという。5月の調査結果の3.3%増より上昇した。

 調査は6月12日~19日に,企業幹部311人を対象にアンケートを実施したもの。回答者の内訳は,CIOが88%,CEO,COO,社長が9%,その他が4%。なお,回答者の94%は北米企業の幹部である。

 米Prudential Securities最高投資戦略責任者のEd Yardeni氏は,IT予算の増額の理由として,新しい景気促進計画を挙げた。「設備投資を10万ドル減価償却できるという新たな政策により,これまで支出を引き締めていた企業のIT支出が刺激された」(同氏)

 特定の8カテゴリのIT支出について訪ねたところ,増額予定の回答者は,5月の35.6%から2ポイント増の37.6%となった。また,減額予定の回答者は前月の19.3%から3ポイント減の16.3%で,支出が上向きになっていることを示している。増額対象分野のトップは依然としてセキュリティ・ソフトウエアだった。予算を増額する予定の回答者は約54.4%(5月は約50.8%),縮小する予定の回答者はわずか2.6%だった(5月は約4.6%)。

 その他,主な調査結果は以下の通り。

・コンピュータ・ハードウエア分野の増額予定者は,5月の41.9%から40.8%に減少した。また,減額予定者も5月の21.5%から減少し,20.3%となった。

・インフラ・ソフトウエア分野は,増額予定者が5月の28.2%から31.6%に増加。減額予定者は同17.3%から15.5%に減った。

・社員に対する報酬(給与や賞与など)は今後1年間で平均3.3%増加する見込み。5月の調査結果の1.9%,2002年6月の調査結果の2.8%と比べて増えている。なお,ITプロフェッショナルの確保が困難だとする回答者は5.1%で,5月の3.4%から増加,2002年6月の7.8%からは減少した。

・IT予算のうち,今後1年間でインターネットを介した事業開発にあてる割合は,平均12.8%だった。過去1年間の平均10.7%をわずかに上回った。

・今後1年間のインターネット関連事業による売上高は,企業の総売上高の10.2%を占める見込みだ。過去1年間のその割合は7.7%だった。5月時点では,前者が12.6%,後者が9.9%だった。

・2003年第2四半期のIT支出が第1四半期より「増加する」または「大幅に増加する」という回答者は,32.2%(5月は26.5%)だった。「減少する」または「大幅に減少する」という回答者は,15.8%(同17.9%)。「変化なし」という回答者は51.8%を占めた(55.6%)。

・2003年のIT支出に悪影響を与える最大の要因として,回答者の42.1%は「収益の低迷」を挙げた。同29.9%は「厳しい経済状況」,同19.6%が「IT設備がすでに十分整っている」ことを挙げた。

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