月刊誌「CIO Magazine」を発行する米CIO.comが米国時間7月1日,企業のIT支出に関する調査結果を発表した。それによると,企業のCIOは今後1年間の支出を増加する予定である。米Prudential Securitiesの最高投資戦略責任者Ed Yardeni氏は,「わずかだが,2001年末時点の予測よりは見通しが明るい」と回答した。

 調査は6月13日~20日に,企業幹部307人を対象にアンケートを実施したもの。回答者の内訳は,CIOが89%,CEO,COO,社長が6%,その他が5%である。

 「10カ月以内の増額幅が最も大きいカテゴリはインフラ・ソフトウエアである。これは,アプリケーション・バックログの処理を予定している企業が多いことを示している」(CIO Magazine誌のGary Beach氏)

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・企業は今後1年間でIT支出を5.9%増加する予定である。5月の調査結果(7.3%)からわずかに減少したものの,4カ月連続の増加予測となった。また過去1年間の支出は平均0.2%増加した。5月の調査では3.2%増だった。

・特定の8つのITカテゴリにおける支出を尋ねたところ,増額予定の回答者は前月からわずかに増加して43.2%。減額予定の回答者も前月の15.8%から17.3%に増えた。増額対象カテゴリのトップはセキュリティ・ソフトウエアで,予算を増やす予定の回答者は約60%(5月と比べて4ポイント上昇),縮小する予定の回答者はわずか4%だった(同1ポイント減少)。

・電気通信装置は増額予定者が34.1%(5月は28.2%),減額予定者が25.6%(同24.6%)だった。

・インフラ・ソフトウエアは増額予定者が44.6%(5月は41.3%),減額予定者が12.4%(同14.4%)だった。

・社員に対する報酬(給与や賞与など)は今後1年間で平均2.8%増加する。5月の調査結果の3.6%,2001年6月の調査結果の7.1%と比べて減少した。またITプロフェッショナルの確保が困難だとする回答者は7.8%。5月の8.2%からわずかに減少し,2001年6月の24.4%からは大幅に減っている。

・IT予算のうち,今後1年間でインターネットを介した事業開発にあてる割合は平均15.3%。5月の調査結果の13.2%からわずかに増えた。

・今後1年間にインターネット関連事業が創出する売上高は,企業の総売上高の11.8%を占める見込み。5月の11.6%をわずかながら上まわる。また,6月時点で過去1年間にインターネット関連事業が創出した売上高は総売上高の9.7%。5月のその割合は8.6%だった。

・2002年第2四半期のIT支出が第1四半期より「増加する」または「大幅に増加する」という回答者は36%(5月は37%)。「減少する」または「大幅に減少する」という回答者は16%(同14%)。「変化無し」は48%だった。

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