月刊誌「CIO Insight」を発行する米Ziff Davis Mediaが,企業のIT支出に関する調査結果を米国時間1月15日に発表した。それによると,大企業が資本支出と営業費用の削減を予定していることから,2003年のIT支出は前年比0.2%減になるという。

 調査は300人のCIOを対象に,2002年10月15日から29日にかけてアンケートを実施したもの。

 また大企業と中小企業では,2003年のIT予算が異なることも明らかになった。大企業が前年比0.5%の削減を見込む一方,中小企業は前年比5%引き上げる予定だ。なお,2004年にはIT支出が前年比4.4%増に達し,回復に向かうとみる。

 企業のIT部門が今年新たに着手するプロジェクトの数は減少する。そのような状況のなか,IT支出が最も増加する分野は以下の通り。

・オープンソース技術(例:Linux):前年比20%増
・無線ネットワーキング/モバイル技術(例:WiFi,無線PDA):同19%増
・eビジネス・パッケージ・アプリケーション(例:CRM):同12%増

 企業のCIOは,既存のシステムを活用して支出を削減しようとするため,インフラに対する投資は激減する。最も支出が減少するのは以下の分野である。

・ネットワーキング関連のハードウエア/インフラ(例:ルーター,スイッチ):前年比13%減
・データベースやアプリケーション開発ツール(例:米Oracleの製品):同13%減
・通信関連のハードウエア/インフラ(例:VoIP製品):同11%減

 厳しい経済状況が続くが,企業の新しい技術に対する関心がまったく衰えてしまったわけではない。例えば,2003年にブレード・サーバーは91%以上成長する。一方,ピア・ツー・ピア・コンピューティング技術など,実験的な技術に対する支出は20%以上減少する。

 CIO Insight誌編集長のEllen Pearlman氏は次のように説明する。「企業の幹部はCIOに対し,既存の資産を活用する一方で,短期間に投資を回収できるプロジェクトに注力することを求めている。このためCIOの22%は,技術を通じて費用を削減することを最優先課題としている」

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