米Microsoftが,Internet Small Computer System Interface(iSCSI)対応のソフトウエア・イニシエータ・パッケージを公開したと米国時間6月30日,発表した。同パッケージは,Microsoft iSCSIイニシエータ・サービスと,Microsoft iSCSIイニシエータ・ソフトウエア・ドライバを含む。
ソフトウエア・ドライバの対応OSは,Microsoft Windows 2000のクライアント/サーバー版,Windows XP,Windows Server 2003製品系列。直ちに利用可能とし,Microsoft社のWWWサイトにおいて無料提供する。
iSCSIは米Cisco Systemsと米IBM社が共同開発した技術で,TCP/IP上でSCSIコマンドを使えるようにするプロトコル規格。先ごろInternet Engineering Task Force(IETF)が承認した。既存のEthernetネットワークを利用してストレージへのデータ伝送が可能になることから,高価な専用装置が不要になり,企業などが容易にストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)を構築できるようになるという。
「米GartnerのDataquestが行った調査によると,2006年にはiSCSIを使ってSANに接続されるサーバーの数が150万台近くにまで増え,ほかの競合技術より普及する」(Microsoft社)
Microsoft社のiSCSIイニシエータ・パッケージは,Internet Protocol Security(IPsec)対応データ暗号化機能,サーバーおよびクライアント用のInternet Storage Name Service,Windows Management Instrumentation(WMI)による管理機能を備える。また,別のハードウエア・イニシエータと組み合わせて共通フレームワークを構成可能なアーキテクチャを採用している。
同社によると,現在85社の独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)および独立系ハードウエア・ベンダー(IHV)が,iSCSI対応のWindowsベース・アプリケーションやストレージ・ハードウエア製品を開発中という。
さらに同社は,技術的な相互接続性と品質を保証する目的で,Windows向けiSCSIハードウエア・コンポーネント向けの取り組み「iSCSI Designed for Windows Logo Program」を開始した。「これによりIHVは,自社製品について信頼性と,Microsoft Windows製品との相互接続性を確認できるようになる」(同社)
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