「ネットワーク上のストレージを利用する動きはますます加速するだろう。そのとき主流になるのはiSCSIだ。iSCSIはSCSIとTCP/IPを組み合わせた技術で,サーバーに内蔵したハードディスク(DAS:ダイレクト・アタッチド・ストレージ)やNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ),SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)を,同じプロトコルで相互に接続できる唯一の技術だからだ」。米アダプテックのロバート・シュルツCOO(最高執行責任者,写真)はこう主張する。

 現在,SANで一般的に使われるのはファイバ・チャネル。ただし,「通信速度は数Gビット/秒高速だが,仕組みが複雑でコストが高い。iSCSIは現在1Gビット/秒程度だが,2004年には10Gビット/秒に対応した製品が登場する。コストも安い。将来的にはiSCSIが主流になるだろう」(シュウルCOO)。ファイバ・チャネルのプロトコルをIPのパケットに包み込む(カプセル化する)FCIP(ファイバ・チャネル・オーバーIP)については,「オーバーヘッドが大きく転送速度が速くできない欠点がある」(同)という。

 シュルツCOOは,企業の部門サーバーなどでもiSCSIが多く利用されるようになると予想している。「大量の部門サーバーを抱える企業は,ネットワーク経由で簡単にバックアップを取ることが可能で,障害に備えることができる」。

坂口 裕一=日経コンピュータ