米Microsoftの次期版サーバーOS「Windows .NET Server 2003」では,新しいストレージ技術「iSCSI」(SCSI over TCP/IP)への標準対応が見送られることになりそうだ。これは米フロリダ州で開催された展示会「Storage Networking World in Orland」の会場で,同社Enterprise Storage部門のZane Adam部長が明らかにしたもの。

 iSCSIは,SCSIのコマンドをTCP/IPのパケットに入れて,LANやインターネットを経由してストレージ装置などをつなぐプロトコル技術。Fibre Channelを使ったSAN(Storage Area Networking)や,EthernetにつなぐNAS(Network Attached Storage)に対抗する新しいネットワーク・ストレージ技術として期待されている。多くの企業ユーザーは,MicrosoftがWindowsに標準でiSCSIのデバイス・ドライバを搭載することを望んでいた。しかし,Adam氏はそれを否定した。理由は,標準化作業を進めているIETF(Internet Engineering Task Force)が,まだ正式にiSCSIプロトコルの最終仕様を承認していないためだ。Microsoftは標準化以前のものを標準搭載することは極力しないという。

 「そうなんだよ。僕らはいつもiSCSIをサポートするといってきたんだけどね。“出荷の車”は,iSCSIがいつ承認されるのか,標準化はいつなんだと,ずっと待ってきた」と同氏は語った。Microsoftは,IETFが2002年末までに仕様を承認すると見込んでおり,そのあとから対応作業に入る。完成したiSCSI対応のデバイス・ドライバは,Web経由でダウンロードするか,将来のサービス・パックで提供する予定だ。いま現在,iSCSIを使いたい人は,サードパーティ製のデバイス・ドライバを使わなくてはならない。